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平「あー食った食った!」

斎「飲みすぎだぞ、平助。」

平「だーいじょうぶだって!!カラオケいこーぜ♪」

千「平助君・・大丈夫?」

陽気に歩く平助を先頭に私たちは居酒屋を後にした。だいたい飲んだ後は近くのカラオケにいくのがいつもの流れである。

 「あーあ、平助飲みすぎ。」

沖「いいんじゃない?明日休みだし。」

 「帰れるのかな、まったく。」

早足でどんどん進む平助を一君がつかまえた。千鶴も逆側にまわり二人が抑えながら歩いている。

 「ほんと仕方ないね、平助。」

沖「久しぶりにみんなで飲んだからはしゃいだんでしょ。」

後ろから二人で歩くのもいつもの流れといえば流れかな。騒いでる平助を一君と千鶴がとめて、私と総司は後ろから見ていることが多い。

沖「名前ちゃん。」

総司に名前を呼ばれたかと思うと左手首を掴まれた。何?って反応する前に総司の左側へ引っ張られる。

 「どした・・?」

振り向いて理由がわかった。
後ろからけっこうなスピードを出した自転車がきていた。
車道側にいた私にぶつかりそうな勢いで。

沖「スピードだしすぎだよね、危ないな。」

総司が少しムッとした表情で自転車を見送る。

掴まれた腕はそのままだった。


――ドキ

あれ?
今、ドキってした?

や・・やだな。
総司がガラにもないことするから。
ってか、手・・まだ離してくれないんだけど。

沖「あ、平助達カラオケ入っちゃった。いこ。」

手首にあった総司の手はそのまま私の掌へ移動した。

 (え!?ちょっと!)

引っ張られる形でカラオケ店に入り込む。
一君と平助は店員さんにドリンクのオーダーをしていたみたいだけど、千鶴はこっちに気付いた。

千「二人ともおそ・・。」

千鶴の視線は間違いなく私たちの手だった。

沖「ごめんごめん。」

パッと総司が手を離した。
そしてそのまま3人のところへ向かう。

 (たまたまだよね。特に意味はないよね!?私の感情も今だけ限定ってやつだよね・・)

一時の迷いとは言わないが、気のせいに思いたくて平助と一緒に思い切り騒ぎまくった。
千鶴も一君も笑いながら見てくれていた。

総司のことは・・あまり見れなかった。


手をつないだ感覚だけは、どんなに歌っても消えなかった。

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