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慌てて部屋を飛び出した。
とりあえず右!右が出口に近い!

今ならオリンピックでれるってぐらい力を入れて走ろうとした時だった。



――グイッ



土方さんのすぐ隣の部屋から手が出てきたかと思うとすぐに引っ張り込まれた。


すぐにふすまが閉じられる。



土「てめぇら待ちやがれ!!!」



ダダダダダダダダダ




直後に廊下を鬼が走って行った。



突然のことにびっくりして叫びそうになったがその声は誰かの掌に吸収されていたらしい。
ゆっくりと解放される。


 「大丈夫か?」


 「一君!」


斎「副長もさすがにすぐ隣の部屋にいるとは思わないだろう。」


引っ張り込んでくれたのは一君だった。
一気に力が抜けてしゃがみこむ。


 「・・死ぬかと思った。ガチで。」


斎「がち?」


 「本当にって意味かな。」


斎「縄がとけてしまうとは計画が狂うな。」


 「でも総司君が一番にぬけたからすぐに何とかしてくれるんじゃないかな?」


斎「その前に。」






 「ぎゃぁぁぁぁああああああ!」





遠くから叫び声が聞こえた。



斎「・・・。一人か二人は犠牲になるだろうな。」


 「いや、現在進行形でなってるんじゃないの?私初めて聞いたよ。断末魔の叫び。」


私のすぐ後ろに一君が座っている。
少し考えこんで口を開いた。


斎「しばらくここにいるか。」


 「見つかるの時間の問題じゃない?」


斎「大丈夫だ。」


 「その根拠はどこから?」


斎「名前は俺が守ってやる。必ず逃がしてやるから安心しろ。」



は・・はじめさーん!!!!
何これ、一君ルートきたー!!!!
さっきまでは左之さんに優しくしてもらったし。
なんというハッピー!
エイプリルフール万歳!!!


 「は・・一君。」


斎「・・///」


 (照れてるとこがたまらない!!!)



―――スパァァァァァアン!!!



ムードをぶち壊す音が響いた。
今までにない速度でふすまが開いたのだ。


 「ひぃ!?」


斎「!・・・総司か。」


沖「もしかしてお邪魔?」


顔は笑っているけれど目が完全に笑っていない総司が立っていた。
声もいつもより低い。

 「し・・し静かに開けてよ!土方さんが・・。」


沖「鬼退治作戦は≪すたーと≫したから大丈夫だよ。犠牲になったのは新八さんぐらい。」


斎「そうか・・。」


沖「それより、だいぶ近いんじゃない?二人とも。」


 「「!?」」


二人の距離はだいぶ近かった。
こっそり隠れていなくてはいけなかったというのもあるが・・ほぼ密着状態である。


――グイッ


 「わわわ・・総司君、ひっぱらないで。」


沖「まだ、仕事あるでしょ。ほら、行くよ。」



斎「総司、名前を引っ張るな。困っているだろう。」


沖「なんで一君に言われなくちゃいけないの。」



 「はいはいストップ!!仕事、しにいこーね。」



沖・斎「・・・。」



若干険悪な空気のまま、三人は広間へ向かった。

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