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―二ヶ月前―


学「よーし!みんなくじひいて!」



学級委員が黒板の前で叫んだ。
私達は文化祭で劇をすることが決まり、今から誰が何をするかを決めるところだった。



だが、おそらく個人の希望をとっていたら決まらないだろうと思った学級委員がお互いうらみっこなしのくじびきを提案したのだ。



黒板にはキャストや大道具、照明、衣装など必要なポジション、人数が記載されている。



くじなら運だし、文句も言えない。
しかも男女関係なしときた。
男が女役をすることも男が女役をすることもあるってこと。



私も早く決まるならそれでいいと思っていた。
その時までは。


学「はーい、じゃあ王子役は?」



斎「・・・俺だ。」



――ザワッ



教室が一気に騒がしくなった。
主に女の子の黄色い声とひそひそ内緒話。



斎藤君は口数は少ないけれど、頭もいいし、優しいし、何よりかっこよくてクラスだけじゃなく、上級生からも人気がある。



そんな斎藤君が王子役だなんて。
誰もがなりたいんだろうな、シンデレラ。



学「継母、姉は?」



沖「げ・・。」



山崎「う・・・。」





後ろの席からかなり嫌そうな声がした。



振り向くと自分のくじをくしゃくしゃにしている総司と信じられないと言わんばかりにくじから視線を外さない山崎君の姿があった。





さらに教室がざわめく。





総司も山崎君も共に人気があるし。
こんな豪華キャストと一緒に劇できるなんてそうそうないよね。うん。





私はゆっくりと自分のひいたくじを開いた。
手先不器用だし、衣装とかより照明とかのほうがいいなーなんてのんきにかまえていたのに。



 ≪シンデレラ≫



その五文字が記載されていた。

何度見ても。

何度瞬きしても。

書かれている文字は同じ。



 (ちょ・・シンデレラ!?)


嘘だ嘘だ嘘だ。


あ、別に斎藤君が嫌とかじゃないよ?

むしろ斎藤君とは仲良くなったけど。

ただでさえ口数の少ない彼。

話していると目立つんだと最近気付かされた。



ついこの前斎藤君ファンの先輩達に囲まれた。
こんなの少女マンガの世界にしかないと思っていたけど。
ドロドロとした女の嫌な所をみせつけられて困っていたらたまたま通りがかった薫と千鶴ちゃんに助けられた。



私は別に斎藤君が好きなわけじゃないのに。




私が好きなのは・・

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