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廊下から平助君の声がしたかと思えば、部屋の前に彼に間違えないシルエット。




平「名前、そろそろ飯の支度・・。」




返事をする暇もなく平助君が襖を開けた。


もちろん彼の目の前には。


私に膝枕されている斎藤さんがいて。


さらに殺気をビシビシ飛ばしている私がいた。






平「あ・・あ・・・あの・・ごめ・・。」






みるみる青ざめる顔。





 「ううん、そうだね。私と平助君が当番だったか。」



いつの間にか斎藤さんは眠ってしまったらしい。
なるべく静かに膝からおろすと斎藤さんにそっと声をかけた。



 「ご飯の準備してきますね。」




斎「ん・・・名前?」




斎藤さんの目が少しだけ開く。
焦点の合っていない目で私を探してくれたのか、立ち去ろうとする私の手を掴んだ。




斎「どこへ・・行く?」




 「夕飯の支度です。まだ寝ててください。呼びに来ますから。」




斎「・・・しょうち・・した。」



夢うつつなのか言葉はかたいのにふわふわした口調だ。











何これ。



何この可愛い生き物。



悶え死ぬから!










すぐにまた夢の世界へ旅立った斎藤さんを残し、私は平助君と台所へ向かう。



平「あの、また邪魔して・・その・・ごめん。」




 「・・・・チッ。」




平「今!?今舌うち!?」




 「だって斎藤さんの前でしたくないもん。」




その後平助君と夕飯の支度をした。
昔の台所にもだいぶ慣れ、私も一通りご飯が作れるようになった。



広間にお膳を運び終わると平助君があることに気付く。



平「あれ?お膳二人分足りない?」



 「あ、うん。今日は斎藤さんの部屋で食べるから!適当に言っておいて。」



平「は?」



 「ふふふ。うまく言っておいてね。そしたら今日のことはチャラにしてあげる。」



平「えぇ!?」



部屋で二人で食べるなんて言ったらみんなにいろいろ言われそうだけど、たまにはいいよねー。




平助君を残し、私は二人分のお膳を斎藤さんの部屋まで運んだ。



 「斎藤さーん。ご飯ですよ。」



部屋の外から声をかけて襖を開いた。
私の気配に気が付いていたのか斎藤さんはすでに起き上がっている。



斎「俺は眠っていたのか・・。」



まだぼーっとしているのか動きがゆっくりだ。



 「はい。少しだけですけど。ご飯食べられます?」



斎「あぁ。・・・何故ここにお膳が?」



 「ここで食べるんです。一緒に。」



斎「ここで・・か?」



目を丸くしている斎藤さんの前にお膳を置く。
すばやく自分の分も横に置いて隣に座った。



 「はい、今日は斎藤さんの好きな高野豆腐ですよー。」





ご飯の時のイチャイチャといえば。



あれですよね、あれ。





 「はい、斎藤さん。」



斎藤さんの口元に箸で豆腐を持っていく。



斎「??」



首を少し傾げ、頭の上に?マークを浮かべながら斎藤さんはこっちを見た。



く・・天然め。
いちいち動作が可愛い。




 「あーんしてください。」



斎「なっ/////」



 「あーん。」



斎「じ・・自分で食べられる。」



この件、耳かきのときもやったな・・



 「私がしたいんです。だめですか?」



斎「う・・。」



原田先生直伝上目遣いのお願い!



斎藤さんが控えめに口を開いた。
すかさず豆腐を放り込む!


 「どうです?」



斎「・・うまい。名前は味付けがうまくなったな。」



 「本当ですか!?嬉しい!」



誰の為って斎藤さんの為に料理がんばったからなぁ。嬉しい。
次にご飯を斎藤さんの口元へもっていく。



斎「名前・・それではあんたが食べられないだろう。」



 「いいんです。私は後で。」



観念したのか斎藤さんが口を開いた。
ご飯を運ぶともぐもぐと食べている。
今日何度私を萌え死にさせる気ですか。



斎「名前。」



 「はい?」



いつの間にか私の口元にご飯。
え!?これは・・まさか・・。



斎「口をあけろ。」



台詞にイチャイチャ感皆無ですけど。
でも、食べさせてくれるってことですよね?



 「あ・・///」




口を開けてご飯を食べた。
緊張して味がよくわからない。



斎「名前には俺が食べさせる。」



斎藤さんが積極的!?
どんとこい!
味よくわかんなくても全部食べます!






本当広間で食べなくて良かった。
土方さんあたりに激怒される、こんな姿。

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