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平「いきなりごめん!・・嫌いになった?」


抱きしめられてて表情は見えないけれど、いつものおろおろしている平助君で。


 「嫌いなわけないよ。」


平「そっか・・良かった。」


ほっとしたようなため息がこぼれてくる。
安心したのはこっちだよ。



 「平助君が・・いきなり変わっちゃうから。」



平「え?」



ゆっくり腕の中から離れて平助君を見上げた。
じっと見ているといつも通り、赤くなった平助君がいる。



 「だって、平助君、いつも近づいただけで赤くなっちゃうのに。朝から・・変。」



平「変?」



 「手つないだり、キスしたり。なんだかいきなり大人っぽく笑うし、余裕あるみたいで。いつもの平助君と違くて・・。どっちが本当の平助君なの??」




平「あ・・・あーそれは・・。」



平助君の目が泳ぐ。
しばらく何か考えているみたいだったけど気まずそうに下を向く。



平「笑うなよ。」



 「うん。」



平「総司に言われたんだ。」



 「沖田先輩?」



昨日総司と話をしてて・・と平助君は話しだした。





















沖『へぇ、名前ちゃんと付き合うの?良かったじゃない。おめでとう。』


前から恋愛相談にのってもらっていた総司に名字に告白されたことを伝えるとニヤニヤしつつも祝福してくれた。


平『あぁ。自分から言えなくて情けねぇけど。』



沖『ほんとだねぇ。僕だったら嫌だな。』


平『なっ!別にいいだろ!?』


沖『でもこれからはそうはいかないんじゃない?』


平『?』


沖『女の子はさ、少し強引だったり、大人の余裕がある人が好きっていうじゃない。近くにいただけで赤くなっちゃったり、自分から告白できないようなヘタレはふられちゃうよ?』


平『え!?』


沖『名前ちゃんに嫌われたくなかったら、少し変わらないとね、平助君。』


がんばってーなんて心のこもっていない棒読みの台詞を残して総司は立ち去って行った。






















平「って言われて・・。」



 「それで・・いつもと違ったの?」



平「こんなヘタレのままだと名字に嫌われちまうと思って。」


シュンと捨てられた子犬のような彼が愛おしい。
私はどんな平助君も好きなのに。



 「私は・・平助君がすきだよ?」



平「え・・//」



 「どんな平助君も大好き。だから無理しないで?」



そう言って平助君に抱きついた。
きっと真っ赤になっている彼の胸元にすりすりと顔を埋める。




平「名前・・。」



 「え!?」



少しかすれたような、色っぽい声がふってきた。
びっくりして見上げるとそこには微笑んでいる平助君。
でもいつもの愛らしい笑い方じゃなくて。



 「え?あの・・平助君?」



平「俺、ヘタレだけど、さっきのは別に無理してたわけじゃない。」



 「さっき・・?」



それって・・。
き・・キスのことですか?



平「さっきは本当に止まんなかった。」



ゆっくりと平助君の手が私の頬に触れる。
両手で包みこまれるように顔を上に向かされ、逃げられない。




平「俺、お前のことが大好きだから、お前の嫌がることはしたくない。でも・・もう一回していいか?」






返事は平助君の唇に吸い込まれた。










可愛いきみも。


積極的なきみも。


どっちもほんとのきみで。


でもどっちのきみも。


私は大好きだよ。


深くなっていく口づけに。


これから彼に翻弄されていく未来が見えた。








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