そのまま教室にたどり着いて。
周りの視線が気になったけど、平助君は何も気にしていないかのように席についていた。
繋いでいた手がまだ熱い。
朝からドキドキしてしまったせいで、一時間目の授業なんて何も頭に入ってこなかった。
私の席の右斜め前が平助君の席。
あーあ。相変わらずペンが動いてない。
それどころか頭が上下に動いてる。
夢の中ね。
平助君はドキドキしてないのかな?
いつも近づいただけで赤くなる平助君なのに。
さっきの彼は・・どうしちゃったの??
別人みたいに余裕たっぷりで。
ほんとに平助君だよね?
そんなことを考えていたら授業は終わっていた。
二時間目も嵐のように通り過ぎ、三時間目前の休み時間。
三時間目はテストだった。
国語は得意だけど、今の私に問題解けるだろうか・・。
平「名字ー!次どこの問題がでると思う!?」
いつの間にか目の前に平助君。
「え!?//」
いや、こんな風に平助君が問題を聞いてくるなんていつものことじゃない。
何を慌ててるの。私。
「あ・・えっと・・これ、とか?」
平助君が広げた教科書を指さす。
ここは土方先生が前に出すって言ってたよなどと説明しているうちに私の心はだいぶ落ち着いた。
「覚えた?」
確認しようと平助君のほうを向いたら予想以上に近い顔。
「あっ・・//」
平「あ。わり・・//」
ガタっと一歩下がるようにして離れる平助君。
やっぱり彼の顔は赤くて、あわあわしていて。
あれ?やっぱりいつもの平助君?
でも赤くなっていた平助君は一瞬で。
真剣な顔になるとゆっくりと私に顔を近づける。
「え?え??」
そのまま平助君の顔は私の横へ。
正しくは耳元へ。
平「お昼、二人で食べたい。いいか?」
「ふ・・二人?」
平「あぁ。名前と二人になりたいんだけど?だめ?」
「だっ駄目じゃない!//」
平助君の息がくすぐったい。
ふわふわした髪も頬に触れている。
クラスメイトがいる教室でこんな内緒話。
心臓が持ちません・・////
ぱっと離れると平助君はいつもの笑顔だった。
屈託のない笑顔。
平「よっしゃ!俺テストがんばってくるわ!教えてくれてありがとな!!!」
「うん・・・・。」
そう言って席に戻っていく平助君はいつもの平助君で。
もう私はよくわからなくなっていた。
すぐに赤くなっちゃう可愛い君と。
意地悪そうに笑う余裕たっぷりの君と。
ほんとのきみは・・。
どっち?
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