「おはよう!平助君!」
平「おぉ、おはよ。」
登校途中の平助君に追いつく。
家はそんなに遠くない。これからは毎日一緒に行こうかな・・。
平「今日テストあるよなー。」
勉強してねぇやなんて呟く横顔を眺める。
うん、かっこいい。
私、平助君の彼女になったんだよね・・。
正直、平助君モテるから彼女になれるとは思わなかったけど。
当たって砕けろの精神でなんとかなったのかな。
ゆっくりと彼のあいた左手に右手を近づけた。
平助君が手をつないでくれるのを待っていたら日が暮れちゃうもの。
そっと触れる。
案の定思い切りこちらを振り向いて顔を赤くする。
「手・・つないでいい?」
平「あ・・うん//」
少し遠慮がちに手をつなぐ。
本当は私だって恥ずかしいよ?
でも私以上に顔を赤くしちゃうから、なんだか冷静になれちゃって。
でもこんな平助君が好きだから、幸せ。
と思ったのは一瞬で。
軽く繋がれた手がすぐに恋人つなぎにかわる。
あれ?
平助君?
いきなりの行動に思わず私の顔が赤くなった。
横の彼を見上げると赤くなっていた平助君はどこにいったのか?
平「どうしたの、名前。顔赤いけど。」
「え!?え・・?///」
ニヤリと意地悪そうに微笑む平助君が立っていた。
それに・・名前呼び捨て!?
同一人物?????
平「あんまりゆっくり歩いてると遅刻しちゃうな。急ぐぞ?」
「わっ・・。」
手を繋がれたまま平助君が走り出す。
私も慌てて追いかけた。
といっても手つないでるから引っ張られているようなものだけど。
「あの・・あの、平助君!もうすぐ学校ついちゃうよ??」
平「つかないと遅刻だろ!?」
「そうじゃなくて・・手!手!」
平「手がどうかしたか??」
「つ・・つないだままっていうのは・・風紀委員に怒られちゃうよ??」
と言ったのは言い訳で、少し恥ずかしかったりする。
平「・・いいじゃん、怒られちゃおうぜ。」
「えぇ!?」
またニヤっと意地悪そうに微笑むと平助君はしっかりと手を握ったまま、校門に向かって駆け込む。
斎「おい。」
案の定。
校門のところに立っていた斎藤先輩に声をかけられた。
薫「仲がいいのは結構だけど、堂々と手を繋いで学校に入ってくるなんていい度胸だね。」
あぁ、南雲先輩にまで。
「う・・ごめんなさい・・。」
平「いいじゃん、一君。俺達付き合ってるんだから。」
斎「・・・・そういうことを言ってるんじゃない。校内では規則を守れと・・。」
平「ごめんごめん!気をつける!」
そう言うと平助君は二人の間をすり抜けるように走り出す。
もちろん、まだ手はつないだまま。
薫「あ!コラ・・。」
「ご・・ごめんなさーい!!!」
とりあえず叫ぶように謝っておいたけど。
あれ?
私が手を繋いでるのって・・。
本当にあの平助君!?
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