最大限の嫌な顔をした俺のことなんてまるで無視で。
総司は名字の隣の席に座るとご丁寧に机までくっつけてきやがった。
くそ・・俺、前の席じゃなくて横の席にしておけばよかった!!!
ちなみに俺は机を動かして名字と向かい合うように座っていたんだけど。
これじゃ総司の方が距離が近い。
一体なんだよ、総司。
何の嫌がらせ??
俺の視線もお構いなしで。
総司は名字に英語を聞いていた。
総司に聞かれたことにすらすら答えている名字に感心しつつも、その距離の近さに俺はイライラと焦りとなんともいえないそんな感情がぐるぐるしてもう問題どころじゃなくなった。
「あ・・ごめん。お母さんから電話。」
そう言うと名字は立ちあがり、携帯を持って教室を出ていってしまった。
沖「平助君。さっきからすごい怖い顔してるけど。」
平「え??」
沖「そんなに気に入らないの?名前ちゃんの隣に座ったこと。」
平「なっ・・//」
ニヤニヤしながら聞いてくる総司に腹が立ったけど。その前に・・こいつ。
俺の気持ち知ってる!?
沖「平助君わかりやすいからね。」
平「そ・・総司。」
どうしよう、総司にバレるなんてろくなことにならない、そう思った時。
沖「でもさ、平助君。僕も好きなんだよね、名前ちゃんのこと。」
平「は・・・?」
総司が?
名字のことを好き?
学年でも一、二位を争うぐらいモテる総司が?
沖「だから、どっちが振り向かせることができるか・・勝負だね。平助君。」
総司がにっこりとほほ笑むと、名字が戻ってきた。
「・・?どうしたの?」
沖「ん?何でもないよ、名前ちゃん電話大丈夫だった?」
「ありがとう。大丈夫だよ。でもね、今日は帰らなきゃいけなくて・・ごめんね?」
沖「ううん、また明日も教えてもらっていい?」
「え?うん、私なんかでよければ。」
名字と総司のやりとりを茫然と見ていた。帰り支度をする名字に
平「気をつけて帰れよ?」
そう声をかけるのが精一杯なぐらい。
「うん。ありがとう、平助君。また明日ね?」
笑って教室を去って行く名字。
いつもならあの笑顔だけで元気になれるのに。
沖「じゃ、僕達も帰る?」
平「・・・・あぁ。」
全然元気になれなかった。
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