「はっ・・!?」
気がつくと目の前には見慣れた天井。
あ・・。
やっぱり夢だったんだ。
そうだよね。
あーびっくりした。
「はあ・・怖かった・・ってうわ!」
起き上がると横には。
さっきの女の子。
「え・・え・・あの・・。」
名字「母様、大丈夫?」
「えっと・・うん。大丈夫・・。」
あれ?夢じゃないの?
斎「名字、母様は具合が悪い。静かにしていなさい。」
えぇ!?今度は斎藤さん!?
しかもまた私が母親!?
「えっと・・さいと・・いや、一さん?」
斎「気分はどうだ?」
うわっ・・斎藤さんの嫁になったよ!私!
心配そうに横に座り、私の額に触れる。
いつもより距離が近くてドキドキする・・。
斎「だいぶ下がったな。」
「はぁ・・。」
名字「良かったね!母様!父様のお薬きいたねー!」
「え?」
斎「これは何にでも効くからな。」
石田散薬ですよね。
わかります。
結婚しても副長至上主義は変わらないんだ、斎藤さん。
名字「ふくちょーすごい!すごいね母様!」
子供にまで副長って呼ばせてるし・・。
わ・・笑いそう・・。
斎「ほら、もう少し母様を寝かせてやれ。」
そう言うと斎藤さんは名字を抱き寄せ膝の上にのせた。
わ・・お父さんっぽい!
なんか絵になる!
優しく髪を梳く姿が微笑ましい。
撫でられている名字は段々眠くなってきたようで・・。
斎「寝てしまったか?」
「そうですね。」
斎藤さんの腕の中で幸せそうに寝息をたてていた。
斎藤さんは素敵なパパになる気がする。
うんうん。
断然沖田さんよりいいよね!
「よく寝てますね。」
斎「あぁ。昨夜は遅くまで起きていたからな。」
「そうなんですか?」
斎「ああ・・。本を読ませていたらなかなか眠らなくてな。」
「本?」
斎「軍記物だ。」
え!?軍記物!?
戦闘とかメインのやつ!?
斎「武士道を理解し始めている。立派な娘だ。」
「あ・・あの・・?」
斎「最近では居合にも興味をもっているようだ。俺に教えられることはそれぐらいしかないからな。全て教えるつもりで・・。」
「ちょっとストップ!」
あ、ストップって意味わからないか。
そうじゃなくて!
女の子に何教えてるんじゃこの人は!
斎「さらに、学んでもらおうとこれをいただいてきた。」
―豊玉発句集―
ここでも登場か!
さっきも見たよ!違うかたちでね!
何を学ばせるつもり!?
斎「副長の素晴らしい感性に触れられたらと・・。」
斎藤さんの手から発句集を奪い取り庭へ思い切り投げた。
斎「なっ!名前!何をする!」
斎藤さんもだめだー!!
こんなパパいやだよ!
はやく!
はやく夢からさめて!!!!!
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