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思い切り名前の腕をひっぱって自分の両腕に閉じ込める。



夕日が差し込むオレンジ色の部屋。



腕の中の名前。




いつもと違う光景に少し高揚する自分がいた。




 「総司・・・?」



腕の中から見上げる名前はいつもと変わらない気がして。
抱きしめてるというのにリアクションがそれだけなの?と胸の中がもやもやする。




沖「・・何。」



 「あの・・どうしたの?」



小さい頃はこうして手を繋いだり抱きついたりよくあることだった。
だけど。


僕はもう君より大きくて。
君はあの時よりいい香りがして。






何もかもが違うんだよ。









それを教えたくて顎を掴むとキスをしようと顔を近づけた。










って。
まあ、からかうだけだから。





ここでぎゅっと目をつぶっているような可愛い反応してくれたらそれで良かったんだ。
冗談だよって笑えたのに。
















止めようとした僕の頭に名前の手がまわっていた。




沖「っ?!」



ぐいっとひっぱられると重なる唇。
目を見開くとそこには。
そっと目をつぶって、少しだけ頬を赤らめて。
いつの間にか大人っぽくなった彼女がいた。




動けない僕からゆっくりとはなれる名前。




 「えへへ。キスしちゃった。」



沖「・・名前・・?」



 「好きだよ、総司。」



好きって。
それは。
小さい頃の好きと違う意味の好き?



 「総司は?・・嫌いになっちゃった?私のこと・・。」





悲しそうな顔をする彼女に思わず声を荒げる。




沖「っ・・好きに決まってるでしょ!」




 「良かった。」



ふわりと笑う彼女は。
昔のままなのに。でも昔とは違って。


もう一度ひきよせて、今度は僕からキスをした。

ゆっくり離れようとすると。




沖「っ//////!?!?」




ぺろりと唇を舐められる。



ちょっと!
何これ!聞いてないよ!


にっと笑う名前。



・・いつの間にこんな子になったわけ!?




 「あ、総司顔があかーい。」



沖「どこで覚えたの、そんなこと//」




 「友達から聞いたの!あとは雑誌読んで勉強中!!!」



沖「そんなこと勉強しないでいい!」



 「だって、何もわからないと総司に面倒がられるかなーって・・。」



沖「面倒じゃないから!・・お願いだからあまり変わらないで。」



 「総司が言うならそうする!!」



ふわふわとあぶなっかしい名前を腕の中に閉じ込めた。





ああ。でも。
よく考えたら小さい頃から僕は。
この子に振り回されっぱなしだった気がする。




沖「名前・・。」



この良い雰囲気。
利用していいのかな?
いいんだよね?




そっと一度名前を離し、向かい合わせに座らせる。
うん。
後は後ろにぽんっと押せば・・・




 「よーし!ごはん食べて宿題しよっ!」



僕の手をするりと避け、名前は立ち上がると勢いよく僕の部屋を出ていった。




一人残される。






・・・ちょっと。このドキドキ簡単におさまらないんだけど。







僕はため息をついて名前を追うように部屋をでた。






これからも。
僕を振り回し続ければいいよ。
君にされるなら。
それもいい気がしているから。




でも。
ご飯を食べたらもう一度。
ちゃんと好きって言ってキスしよう。
少しは君を焦らせたい。
僕だけドキドキするなんて癪だからね。




さあ、君は。
どんな顔をするのかな?







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