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私の恋は二週間で終わった。



薫「ひっでえ顔。」



 「は?????何か言った?薫。」


机に頬杖つきながら人の顔を見るなりひどいことを言った隣の席の奴を睨みつけた。


ちっ・・無駄に可愛い顔しやがって。



薫「・・二人ともな。」



薫の視線を辿ると離れた席で真面目に講義を受けるわけでもなく、携帯をいじっていた総司がいた。
左頬がまだうっすらと赤い。叩かれたことは一目瞭然だ。


もう一度薫に視線を戻すと、綺麗な黒い瞳に目を腫らした自分がうつって余計にいらついた。



薫「お前ら別れたの?」



 「うん。多分。」



別れる?と聞かれて。
そういえばうんともやだとも言ってない。



薫「多分って何。それにしても二週間って。付き合ったってカウントすらされないね、それ。」


 「うるさいなぁ。」



薫「まあいいんじゃない?お前らは友達のほうが良かったんだよ。それに・・。」



薫が一瞬言葉をつまらせた。



薫「女遊びの激しい奴と付き合っていいことなんてないだろ。」



 「・・・。」


薫「元気だせって。・・俺と付き合う?」



 「やだよ。スーパーシスコン野郎なんて。」



薫「お前・・人が優しくしたらその態度かよ。」



 「あはは。ごめんごめん薫、ありがとう。」



薫(本気で言ってんだけどな。)



私はゆっくりと目の前のホワイトボードに視線を戻した。
大学の講義は早い。気を抜いたらついていけなくなる授業なんてざらだし、単位を落としたら進級も危ういから真面目に受けなきゃ。



・・なのにまた視線は総司に戻ってしまった。


まださっきと同じ状態で携帯をいじっている。


どこの女の子とメールしてるんだろうね。



こんな風になるとは思わなかったんだけどな。





















総司とは大学に入学してすぐに友達になった。
同じコースとはいえ百人はいる中でよく始めから仲良くなったと思う。
抜群に顔がいい総司はともかく、私は特に目立つわけでもなかったはずなのに。

好きな音楽やテレビが一緒でよく話した。
食べ物の好みも似ていてよく二人で出かけた。
気が合うとは思っていたけれど、異性として意識をしたことはなかった。
だって総司の周りにはいつも女の子がいたし。
私以外の子ともよく遊びに行ってたみたいだから。
彼女がいるとは聞いてなかったけれど、気が合う男友達でよかったんだ。


だけど二週間前。


沖「ねえ名前。」


 「何〜?」


目の前のケーキに夢中で総司のほうなんて全く見てなかった。


 「チョコもいいな・・あーでもチーズケーキもすてがたい。だけどここショートケーキ有名だよね。あーーーーどうしよう!?」



沖「ねえってば。」


 「ちょっと待って!!あ、ショートケーキとチーズケーキください。総司は?」


沖「・・・チョコ。」


 「じゃあそれで。」



店員のお姉さんからケーキの入った箱を受け取り店を出た。
私たちはそのまま近くの公園によるとベンチに座る。



 「おいしそー!いっただきまーす!」



沖「いただきます。」



さっき買ったばかりのケーキにかぶりついた。
女の子らしくないとか行儀が悪いなんてわかってるけど。
誰もいないし、いいよねー。



 「おいひい・・幸せ。総司のもおいしい?」



沖「食べる?」


 「うん!」


総司が差し出したケーキを一口食べた。
口の中にチョコの甘さが広がる。


 「これもおいしい!次はこれ買おうかな〜。」


沖「名前、クリームついてるよ。」



 「え!?」


総司の指が口元に触れた。
すっとクリームをさらっていくとそのまま総司の口の中へ。



 「・・//」


なんかちょっと恥ずかしい。
女慣れしてる奴はこれだから。



沖「ねえ、名前。」



 「あ、そういえばさっき何か言いかけたよね。どうしたの?」



沖「・・付き合わない?僕と。」



 「え・・・?」



相変わらず微笑んでる総司に。
何故か首が縦に動いてしまった。



その後、どうやって家に帰ったかはわからない。
気が付いたら部屋にいて。
一人ソファに座ってた。


なんでよく考えもしないで頷いたんだろう。
私そんなこと考えたこともなかったのに。
だって総司はいつも可愛い子と一緒にいたのに。

そうだよ、他の子は?
でも特定の彼女がいるとは聞いたことない。
みんな友達??


私、彼女になったんだ。


そう思った瞬間。
顔が熱くなって。
胸がドキドキして。
総司の笑顔が浮かんで。
キューって苦しくなった。



あぁ。私は。



総司のこと好きだったんだ。


そう自覚した。

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