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沖「名前ちゃん。」


 「きゃあ!…沖田さん?」


静かに名前の背後に近付くといきなり抱きしめ、耳元に言葉を落とした沖田は名前の反応を見て満足そうに笑った。



 「あああああああの!離して下さい!」


沖「どうしようかな?」


 「お願いします〜!!!」


沖「わかったよ。」


沖田は少し名残惜しそうに離れると名前が振り向いて互いに目が合う。


 「どうしました?…あ、お茶ですか?」



沖「うーん、お茶もあるんだけど、そっちが気になるなあ。」


沖田が指さしたところにはもうできあがった団子が何本か並んでいる。



 「見つけちゃいました?」


沖「誰に作ってるの?」


 「え?えーっと…。」


沖「僕も食べたいなあ。」


 「あ、いいですよ?」


そう言うと名前はお皿に乗った団子を沖田へ差し出した。
あまりにもあっさり突き出されたそれに沖田は目を丸くする。


沖「あれ?これ、大切な人の為に作ったんじゃなかったの?」


 「え?はい、そうですけど。」


沖「それって…。」



平「名前!総司!!」



ものすごい勢いで勝手場に飛び込んできた藤堂に名前は驚き、沖田はあからさまに嫌な顔をした。



平「あ…あのさ、その団子って…。」



 「平助君も食べたかったの?」



平「へ?あ、いやそれはその…。」



 「ちょうどよかった。お二人とも手伝ってもらえますか??」



沖・平「「?」」


 「沖田さん、そのお団子持ってもらえますか?平助君は私とお茶を持ってもらいたいんだけど。」


沖「名前ちゃん?どういうこと??」


話しながらもてきぱきとお茶の準備をする名前に藤堂も手伝い始める。
沖田は渋々団子ののった盆を持った。



 「えへへ。ちょっと待っててくださいねー。もうすぐ準備ができ…あつっ!!!」



平「名前!?」



急いでお茶を淹れていた名前は思わず熱くなっていた急須に触れてしまった。



 「大丈夫大丈夫これぐら…えっ!?へっ平助君!?」



藤堂は名前の腕を掴むと沖田の横を通り過ぎ井戸まで走るように連れていった。
井戸の水をくみ上げると冷たい水に指をつける。


平「ちゃんと冷やさないと!」



 「ありがとう…。」



勢いのままに桶に手を入れているが相変わらず藤堂に手首を掴まれたまま、二人でくっつくようにしゃがんでいる体勢に名前は段々恥ずかしくなってきてしまった。


 「あの平助君…///ちょっと近いかななんて///」



平「え?あ!//////わ、悪い!」



沖「あのさ、二人とも。いつまで人を放っておくつもり?」



平「総司!」


 「すっすみません!沖田さん!!」


いつまでたっても戻ってこない二人に痺れをきらした沖田は井戸の所まで団子を持ったまま移動していた。
名前と藤堂は急いで勝手場に戻りお茶を持つ。




 「それでは行きましょう!」



平「どこに?」


沖「もしかして。」



 「はい!広間です!!!」

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