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沖「へー。大切な人ね。」


お茶を飲みながら沖田がそう呟いた。

名前が大切な人とやらの為に団子を作っていたと原田と斎藤が伝えると叫び声をあげたのは永倉と藤堂だった。


土方、沖田は特に顔色を変えることはなかったが内心穏やかではないはずだと原田は思う。


しかし誰一人として余裕のある状態の者がここにいないことからもうすでに誰かと恋仲になっていることはないとそこにいる全員が感じたらしい。



永「名前ちゃん…誰の為に作ってるんだ?」


土「誰でもいいだろ、あいつの好きにさせてやれ。」


沖「あれ?土方さん随分余裕ですね。もしかして自分に作ってるとか思っちゃってます?だとしたら勘違いですよ、勘違い。」



土「ああ?なんで勘違いってわかるんだよ。」



沖「少なくとも土方さんではないですよ。ここにいる誰よりも名前ちゃんとの会話が少ないじゃないですか。話している量で言ったら僕か平助君あたりだと思いますよ?」



斎「随分饒舌だな、総司。動揺しているのか?」



沖「…へえ、一君にそんなこと言われるなんて思ってなかったなあ。そういう一君も動揺したんじゃない?ちょっと話しただけで赤くなっちゃうぐらいなんだから。」



原「おいおい、そのへんにしておけよ。」


平「左之さんは余裕だよなー。」


原「俺達がどうしたって今更あいつの気持ちは変わらないだろうが。」


沖「そうかな?変わるかもよ。」


そう言うと沖田は湯呑みを持ったまま立ち上がった。


平「どうしたんだよ、総司。」



沖「もう一杯、飲もうと思って。」


ニッと笑うとそのままゆっくりと広間を出ていった。
その様子に藤堂も勢いよく立ちあがる。



平「お…俺も気になるし、行ってみる!!」


バタバタと沖田を追いかけていった藤堂に残っていた者たちはため息をついた。



土「ったくあいつら、ほっとけって言ってるのに。」



原「ま、仕方ねえか。気になるだろうよ。」



斎「名前の迷惑にならないといいのだが。」


なんとなくそわそわしてしまう幹部であった。

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