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沖「…ちゃん。名前ちゃん。」



 「え…?」



ゆっくりと目を開けると沖田組長の顔。
心地よいと思ったらどうやら頭を撫でられているらしい。



…ん?私寝てる?
あれ?この体勢…。



沖「そろそろ足が痺れてきたから起きてくれないかな?」



 「えぇ!?」



思い切り体を起こす。
どうやら沖田組長に膝枕をしてもらっていたらしい。


 「私…。」


沖「あったかかったから眠っちゃったんだよ。起こすのも可哀想だし、寝かせてあげたんだけど。僕って優しいから。」


言葉に刺があります。沖田組長。


 「すっすみません!!!」


庭に目をやると千鶴ちゃんがちょうど洗濯を終えていた。


あれ?
じゃあさっきのは…夢!?



沖「ずいぶんうなされてたけど。」


 「え!?」


やっぱり夢見てたんだ。
そりゃうなされるよ!
半分以上あなたのせいです!



沖「最後のほうは幸せそうに笑ってたよ。」


 「あ…///」



私ってばなんて恥ずかしい夢を!
沖田組長と恋仲になるなんて…ありえないじゃない。




沖「そんなに僕のこと好きなの?名前ちゃん。」



 「…ええ!?」



沖「好きです。沖田組長って言ってたよ。」



ニヤニヤと笑っている彼はそれはそれは楽しそうだった。
…寝言言ってたんだ。私。
さっ最悪!


 「気のせいです!」


沖「気のせいなの?…残念だな。」


 「え?」


どこか寂しげな表情の沖田組長。
これってもしかして…正夢になるの?


 「いや、その。…気のせいじゃないです。」


沖「じゃあ好きなの?」


 「…はい。」


恥ずかしくて思わず俯いた。
いつまでたっても何も言ってくれない沖田組長に不安になってゆっくり見上げる。



沖「へえ…そうなんだ。」



 「やややややっぱり違います!」



おもしろい玩具を手に入れた!って顔をしてます!沖田組長!!!
寂しげな表情は嘘だったんだ!ひどい!


楽しそうな沖田組長と対照的に泣きそうなわたしの顔。
だけど沖田組長はくすっと優しい笑顔になると私の頭に手を置いた。


沖「…じゃあ仕方ないから僕のものにしてあげる。」


 「わっ!」


思い切り抱きしめられた感覚は夢の中と同じで。
大好きな香りに思わず顔が熱くなる。



沖「でもまあ僕を放って寝てたんだからその分おもしろいことやってよね。」


 「ええ!?」


沖「とりあえず土方さんに一緒に何かイタズラしにいくことと、千鶴ちゃんに何か今からすること。それから…。」


 「ちょっ…ちょっと待ってください!!!」


沖「嫌だよ。すぐにしてきてね。名前。」



 「よ…呼び捨て禁止です。」



恋仲になっても。
私への扱いは当分変わらなそうです。





それからしばらく。
私は千鶴ちゃんの目が真っすぐ見られませんでした。






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