総司と私が学校に着いて暫くして、走ってきたのか息を切らした平助がチャイムと同時に入ってきた。


良かった。直ぐに話聞かないで済む。
悪あがきだって思われるかもしれないけど、できれば聞きたくない。


休み時間、

「あ、平助どうだったの〜?」

と聞く総司を横目に、トイレだの、職員室に行くだの理由をつけて平助から逃れた。

だけど、昼休み。この時間はどうしたって逃れられない。


膨れっ面した平助が、ドンッと私の机の上に持ってきたお弁当箱を置いた。


「名前、何さけてんだよ?」


「……避けてないし。」


「いーや、避けてたね!」

「避けてないから!っていうか、もう私と何でも一緒にするの止めた方がよくない?」


「…なんでだよ。」


「いや、学校の中は見えないとして…一緒に学校行ったり帰ったりするのは……彼女嫌がるでしょ。」


すると平助は、急に私の腕を掴んで引っ張った。


「……ちょっと話がある。」


「え?何、ここでいいじゃん!」

平助は一瞬何か考えた後、ゴクリと唾をのんだ。


「ここで?……お前、本当にそれでいいのかよ。」



「はぁ?」


「み、皆見てるぞ?」


平助の言ってる意味がわからなくて、別にここで話せばいいじゃん。って呟いた。


「よし!……じゃあ覚悟しろ!」



「な、何!?」


出来てるわけないじゃん!ってかいつまでたってもそんな覚悟出来るわけないじゃん!


そう思った瞬間、平助はすぅーと息を大きく吸い込んだ。


私は、ぎゅっと目をつぶる。


「俺は名前が好きだ!!!!」


「………は?」


きゃーっという声と、クスクス笑う声と目の前には、真っ赤になってる平助。



「だ、だから、俺はお前が好きなの!」


「………はぁっ?!ちょ、ちょっと待って!え?だって平助はあの子が好きで………ええっ?///」


パニックになる私の手を引っ張ると平助はやっぱ場所変える。って教室を飛び出した。



「ちょ、平助!冗談やめて!笑えないよ?」


「冗談じゃねぇ。」


「じゃあ何!?なんであんなことっ」


ツカツカ歩いていた平助は急にくるっとこっちを向いて立ち止まった。
その瞬間に、平助の胸へと引き寄せられる。


「ひゃあ!?!///」


「俺、総司に手を引かれてくお前見て、嫌だったんだ。」


「え?」


「何かわかんねぇけど……名前は俺のもんだ!って思っちまった。」


「な、何言って……///」

「そしたらさ、俺がずっと一緒に居たいのはお前なんだって……お前が笑ってんのが俺は幸せかもしんねぇって……」


「ちょ、き、急に何!?///」


「……お前はやっぱり総司の方がいいのか?…それとも一くん?」


不安そうに私の顔を覗き込む平助に、言葉が出てこない。


「な……ず、狡いよ!平助!私がどんだけ………どんだけ平助の話聞いてるの辛かったと思ってんの?!」


「名前…。」


「私が好きなのは平助だよ!平助意外居ない!!///気付くの遅いよ!ばかっ!」


ボスボスと平助の胸を叩く私に、

「良かった……」


って嬉しそうに笑う平助。私は、怒ってるの!!
睨み付ける私とは逆に、平助はほんのり赤く頬を染めてにっこり笑うと呟いた。


「やば。やっぱお前、可愛い。」


「ちょっと!////」



「ねぇ、ねぇ、そのままキスしちゃえば?……クラス公認だし?」


「……見張っていてやろう。」


「!?!無理に決まってるでしょ!?って言うか2人して何やってんのよ!!///」


「ん、やっとくっついたから、見届けてやってるんだけど。」


「俺達がどれだけ焦れったかったか。」


「ごめんごめん!!じゃ、これからコイツは俺のもんだから!」


「ちょ、平助!恥ずかしいからっ///」


そう言いながら、平助の腕の中で幸せだと思う。

どしゃ降りだった私のキモチも隣に平助がいる。それだけであったかな晴れの空に変わる。


雨のち晴れ――!


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