-平助視点-
「はい、名前」
「ありがと!」
名前は俺から受け取ると、さっそくガブリとかぶりつく。
あはは、美味そうな顔して食うなあ…
だけど俺は、また考え事をしてしまっていた。
「平助…?」
「あ、悪い!」
名前に声をかけられ、俺もクレープにかぶりついた。
そして、店を出たあとも。
「ねえ、平助」
「………」
「平助!」
「うおっ! ごめん!」
うん…つい考えちゃうんだよな。
とぼとぼ歩いていると、もう名前の家の前まで来てしまった。
「じゃ、じゃあな、また明日―」
そう言って、そそくさと名前と別れようとしたとき。
「平助」
「ん? なっ―!?」
俺は、名前にキスをされた。
「名前!?」
「ねえ、平助…」
名前は、今にも泣きそうな顔をしていた。
「何か悩み事があるなら言ってよ、私、平助の力になりたい…」
名前…
そんなことを思ってくれてたのか。
…いや、でも俺の考え事ってなあ…
ちょっと戸惑っていると、名前が言った。
「私、平助が好き!」
…は…えっ?
「えっ?」
「…えっ」
「名前が、俺のこと好き?」
「いやあの………うん」
赤くなる名前。
「ひゃっ!?」
俺は、名前を抱きしめて言った。
「俺も、ずっと前からお前が好きだ!」
―考え事は、お前に告白するかしないかっていうことだったんだ。
俺が言うと名前はクスリと笑った。
END
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