『おはようございます!!』



「…………なんか楽しそうだな、お前。」



人の気も知らないで、朝からデッカいバッグを抱えた名前が顔を綻ばせて家の玄関に立っている。



「約束って夕方だったよな、早過ぎねぇ?」



『なんか待ちきれなくて……迷惑だった…?』



「え?あ、いやそういう意味じゃねえって!ほら、あれだ!総司が出掛けるまでに相当時間があるだろ?だから何しようかなーって……」



今日の名前はいつもと違う。なんか雰囲気とか…視線とか…。
上手く説明できないけど、今日はいつも以上に可愛く感じる。



「────っと、とにかく上がれよ!玄関で立ち話ってのもなんだしさ。」



『……うん。お邪魔します』



別に初めて家に来たわけでもねえのに普段とは打って変わった様子の名前に妙に緊張感が漂う。
予定の時間までどうするか悩んだ俺達は、結局いつも通りゲームをしたり漫画を読んだりして過ごした。

"いつもと同じ"。"いつも通りにすればいいんだ"。
俺は自分に何度も言い聞かせながら持て余した時間が過ぎるのを待つ。



――――――――

―――――



「なぁ、そろそろ出かけるか?」



『そうだね。ちょっと早いけど沖田君の家に行こっか』



なんとか二人きりの時間を早く切り上げようと俺が話を振ると名前はそれに賛成して、出掛ける準備をしながらケータイを手にした。



「メール?」



『あ、うん。千鶴にね』



そう言いながら俺の目を避けるようにしてすぐさまケータイをしまう。



「そんじゃ行くか。俺達の勘違いだったらいいんだけどな」



『…そうだね』



何となく様子のおかしい名前に違和感を感じたけど、俺は気付かないふりをして総司の家に向かった。


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