「千鶴のルームウェア前一緒に買いにいったやつだよね!可愛いー!」
「そうだよ。名前ちゃんが選んでくれたんだよね。」
「着たくても私にパステルカラーなんて似合わないしさー。千鶴が可愛く着こなしてくれるから私も服も嬉しいよ〜」
「ふふっ、そんな事ないよ〜」
キたよ、キたよ!
女の子な会話キタァアァア!!!
制服からルームウェアに着替えた千鶴と私は、ベッドの上にお菓子を広げて互いの髪を結びあったりたわいもない話をしたりとひどく女の子な事をしていた。
むはは、心が清くなってきてる気がする!
「そろそろお風呂でも入る?」
「そうしよっか。」
それからどっちが先かの譲り合いが始まって、結果じゃんけんに勝った千鶴が先に。
どうしよう、壁の向こう側に千鶴が、おふっお風呂入ってるなんて、私鼻血吹いちゃわないかな!!?覗きに行こうと足動いちゃわないかな!!?
「名前ちゃん?」
「は、はいッッ!!」
「…?先、お風呂失礼するね。」
「あ、うん!千鶴っ!」
「なに?」
「その下着めっちゃ可愛いっす!」
「名前ちゃんっ!」
私が鼻息荒くガッツポーズをしながらそう伝えると、三つ編み千鶴はかぁっと顔を真っ赤にして。
あああ、こんな可愛い生き物見たことない!
「ほ、ほんとはね?明日どっちにしようか迷ってたんだ…。」
「え!私も一緒に悩む!」
千鶴は少し戸惑いながらも二つの下着を並べた。
どちらも千鶴らしいフェミニンなものでとっても可愛い。
「ん〜どうしよっかな〜?」
真ん中に星がついてるのも可愛いし、リボンも捨てがたい…
う〜ん、
「僕はこっちだな。」
うんうん、私もそっちかな〜って思っ
「「!!??」」
恨みます、部屋のセキュリティ。
「いやぁあぁあぁ!!」
「総司てンめぇ!!!」
千鶴と下着を庇いながら総司に立ち塞がる。
「ははっ!ごめんってば。千鶴ちゃん、ごめんね?三つ編み可愛いよ。」
「うぅ…」
「どうやって入ってきたの!?鍵掛けた筈だし廊下に先生達いたじゃん!」
「僕が先生やセキュリティに負けると思うの?」
超人か!
あっけらかんと笑う総司に私は溜め息を吐いた。
「僕だけじゃないよ?ほら…」
廊下からバタバタと人が走ってくる音が聞こえる。まさか…
「総司!女子の部屋に忍びこむなど、ッ!?」
「ずりーよ総司!」
「なに一君も平助も来ちゃってんの!?」
「…みっ、み、見回りだ……」
「俺は千鶴達とトランプしに来たぜー」
顔を赤く染めた一君とトランプをカラカラ振る平助をとりあえず部屋に入れてから頭にチョップをお見舞いした。
「ハーゲンダッツの刑だからね。一人2つずつ買ってこないとトッシーにチクってやるんだから。
私イチゴ、千鶴は?」
「…私もイチゴです」
「二人ともどんまーい」
「総司も!!総司が一番罪重いの!」
「やっぱり?せっかくだしトランプしよーよ。」
「誰の部屋だと思ってんの…。千鶴、いい?」
「うん。」
ちくしょ、せっかく女の子女の子してたのに。
こうなったら私の為にも千鶴の為にも男共をこてんぱんにしてやんだから!
「罰ゲームつけようね。そうだな…、僕が決めていい?」
「痛いのナシねー」
「うん、大丈夫。多分嬉しいと思うよ?」
嬉しい…?
平助、千鶴、一君が同時に左に首を傾げた。可愛い…!今のめっちゃ可愛い!
総司が負けた人はこの紙に書いてある罰ゲームに従ってね、と怪しいオーラを放っている紙をテーブルに置いて、ババ抜きが始まった。
右
「え!それにすんのっ?いーぜ、取れよ!」
左
「………」
右
「そっちかぁー!なるほどなぁ〜、取ってみろよ!」
左
「………」
ビリ争いは私と平助で、私があと1枚引けば勝てるんだけど、
この勝負頂いた…っ!
だって見てよ、この平助のヘッタクソな嘘!
絶対ババ右じゃん!
一切の慈悲をかけず一思いに左のカードを取ると案の定ハートの8だ。
「上がり〜!」
「だぁあぁあぁ!!なんで分かったんだよぉぉ!」
「はい平助罰ゲーム。」
ババを叩きつけた平助に罰ゲームの紙を握らせる。
罰ゲーム、何だろう?
総司以外の頭が紙を覗き込んだ。
【ケータイの電話帳の30番目に登録してある人に自分のいい所を電話で聞く】
「嘘だろ……!?」
「ぎゃはははッッ!!きっつ!!」
「えげつないな…」
「30番目は誰でしょう?」
ものすごいスピードでケータイで調べる平助。
それを私達はワクワクしながら見守る。
「お願いだから冗談通じる奴…!!ッッ!!?」
平助の手からゴトリとケータイが滑り落ちた。
「誰だれっ!?」
「………母さん……」
「ぶはッ!!あはっ、あはははははッッ!!お、母さんッッとか……!!」
「もうナイスすぎるよ平助…っ!ぶふっ」
「平助が思い悩んでいる様だな…っ、くくっ…」
「もう、お腹痛い…!」
平助を見たらかなり悲惨な顔をしていて。
それを見たらまた笑いの波が押し寄せてきた。
罰ゲームが怖いけど2回戦もやりたいし、千鶴とガールズトークだってしたい。
ハーゲンダッツだって食べなきゃだし、総司達をバレない様に逃がさないと。
明日の大阪も楽しみだし移動中のバスのカラオケだって楽しみ。
あ、明日の夜は明後日の為に千鶴と服で悩まないと。
たったの3泊4日だっていうのに、やりたい事楽しみな事で溢れてる。
これが一生の思い出になるべき旅行だっていうのなら思いっきり楽しまないと!
楽しいね、って皆に向かって笑い掛ければ、平助は最初渋い顔をしていたけれど、全員が笑って頷いてくれた。
さて、平助の恥ずかしい通話風景を傍観するとしますか!
next→感謝の言葉