平助と私はメロンソーダ、千鶴はレモンスカッシュ、総司はカフェオレ、一君はアイスコーヒーを飲んだ後、ゆっくりと金閣寺行きのバスの乗り場まで歩いたのだが、案の定バスに間に合わず、私達は予定より遥かに後に金閣寺に着いた。
仕方が無いから予定に入っていた平助リクエストの嵐山モンキーパークを諦めてプランを立て直したんだけど、それでもかなりハードなプランだ。
それだというのに、
「キンキラですね……」
「キンキラだな」
「キンキラだよ…」
「キンキラだ」
「ちょ、キンキラゲシュタルト崩壊してきた」
私達はあまりの金閣寺のキンキラさに長時間口をポカンとさせていた。
皆金閣寺がキンキラな事くらい小学生の頃から知っていた。
ただ、想像以上にキンキラで。
「"ここ私の別荘〜"ってくっだらないネタでもしようかと思ってたんだけど、そんな気失せるくらいキンキラだわ…」
「え、そんな下らない事どんな顔して言うつもりだったのさ。」
「うるさいなー!」
「でも俺こんなキンキラなトコで寝れねーわ」
「確かに落ち着けないな。ただ平助、あんたがそんな繊細さを持ち合わせているなんて思えないが。」
「授業中も寝てるもんね平助君。」
「え、平助サイッテー」
「名前、あんたもだ。」
「…サーセン」
それからもずっと皆でキンキラだね、キンキラだよと金閣寺が如何にキンキラかを話していた。
失礼だけどこういう建物って実際に見てみると「あぁ、こんなもんか。」っていうものがよくある。
だけど金閣寺は写真で見るよりも厳かで、何と言ってもキンキラだ。
「ねぇ、写真でも撮ってもらおうか!」
「いいね」
いい感じに人が捌けたところを見計らって私達は横2列に並んで、近くにいた男の人に写真を撮ってもらう事にした。
*ここからは音声のみでお楽しみ下さい*
「せっかく金閣寺に来たんだからさ、金閣っぽいポーズとろうよ。」
「…金閣っぽいポーズとはどんなポーズなのだ、総司。」
「ん?それは皆の心の中にある金閣を体現してもらえばいいよ。答えなんて無いよ。」
「どうしよう…」
「俺決まったぜー!」
「ムチャ振りにも程がある!」
「撮りますよ〜!」
「えっ、どうしよう!」
「はい、チーズ!」
パシャ
〜好きなポーズをあてはめてね!〜
「……何、平助、君は金閣を馬鹿にしてるのかな?」
「してねーよ!俺は金閣の優雅さを全身で表しただけだ!」
「それでこんなアホいポーズになったんだ…。ハッ!」
「鼻で笑うなよ!!名前こそ変なポーズしてんじゃんか!」
「変とは何をっ!この足の曲がり加減完璧じゃん!」
「あんたの金閣像を見てみたいな…。」
「そーいう一君は棒立ちじゃん!金閣に失礼だよ!なめし!
あと千鶴は可愛すぎ!」
「なっ……」
「え?やっぱり駄目だったかな…?」
「可愛いから許す!」
「てかさぁ、総司は何なのそれ!?」
「金閣寺だけど。」
「なんかズルくない!?」
「ここまで頭回らなかった君達の負けだよね。」
「え、悔しい、めっちゃ悔しい…!」
「もう一回撮ろーぜ!!」
この、皆の満足のいった世にもカオスな写真が出来上がるのは、これから10分先の話である。