突然聞こえた声に振り向くと、石田散薬国の一王子が私に歩み寄って来た。
「何故〜…」
斎「あんたを探していた。これを落としていっただろう?」
「それ、お母様のイヤリング!!ありがとうございます!」
一王子は私の手にイヤリングをそっと乗せると、そのまま両手でイヤリングごと私の手を握った。
「Σえ゙///」
斎「聞いくれ。俺があんたを探していた訳はこれを返す為だけではない。
その…っ少し待ってくれ、すぐに心の準備をする///」
私、小鬼、一寸法師は言われるがまま大人しく待った。
─一刻後(゚д゚)ウソン─
斎「(ブツブツ)やはりここははっきり言わねば…しかし急な申し出に戸惑う事もry」
風「貴様いい加減にしろ…。これ以上この俺を待たせようと言うのか」
天霧「風間、そろそろ屋敷へ戻りませんと父上や母上がご心配致します」
「あ…もう夕刻か」
小鬼の言葉で日が大分傾いている事にきづいた私は用件を急がせた。
「一王子、単純明快にズバッとお願いします」
斎「単純…?俺の想いはそんな単純なものではない」
風「もうよい、興が削がれた。帰るぞ天霧」
天霧「はい」
風間は打出の小槌を私の足下に投げ、そのまま立ち去って行った。
藤「なんだよ、最初から貸してくれる気なら素直に言えばいいのに」
「僕達ありがとねー!さてと…。平助君覚悟はいい?」
藤「おう!名前…近い内に祝言挙げような///」
「Σ///だからそれは『Σなんだと!?』Σひぇ!!一王子って大声出るの!?」
一王子は驚愕した後、私の肩に乗る平助君を睨みつけた。
斎「聞け、小さい男。名前は俺の妃になる女だ。お前には渡せぬ」
「へ…………Σどの辺りでそうなった!?///」
藤「Σ小さいって言うな!それ名前は俺の嫁さんになるんだよ!」
「そこも違う気が///」
──────────
あああ、そうだった…。そんな感じだった。うーん、この言い合ってる二人をどうすれば…。
「とにかく平助君を大きくしよう。ちょっとそこに立って」
藤「ん?あ、そうだった!名前頼んだぜ」
「……使い方聞いてない。まぁ振ればいいかな」
私が小槌を二回振ると…
藤「Σうわあああ!!」
「Σえええ!!なんで!?」
金銀財宝がドサッと出てきた。
藤「死ぬかと思った…」
斎「それでも良かったのだが」
藤「Σさっきから何なんだよあんたは!!」
「おかしいなぁ…逆かな?」
そして私が逆の方を二回振り翳すと…
斎「!!」
藤「お……おおー!!」
平助君がでっかくなっちゃった!
「良かったね平助君!『名前ありがとな!(ギューッ)』Σちょっと!?///」
斎「名前に抱き着くな!!離れろ!」
藤「俺の嫁さんなんだから別にいいじゃん!」
斎「何度言えば分かる!?名前は俺の妃になるのだ!」
藤「そっちこそまだ分かんねえの!?名前は俺の嫁さんだって言ってんだろ!!」
「ああもう…好きに言い合っててよ。よいしょ」
私は荷物を背負った。
斎「?どこへ行くつもりだ」
「さぁ…次はどこの国かなぁ」
私は案外この生活が気に入っている。
藤「だったら俺も行くよ。そんで気に入った国が見つかったら祝言挙げような♪」
斎「ならば俺も共に行こう。この様な男と二人旅など危険極まりない。名前の気持ちが決まるまで待っている」
来るのか?二人共本当に来るつもり?
私が盗み見ると二人は睨み合ったまま私に見向きもしていない。
「(今だ!)」
私はそっと歩き出したんだけど
藤斎「待て名前」
「Σ(ビクッ)……さよなら〜!!(ダダダッ)」
気づかれた私は猛ダッシュ。
藤「置いてくなって名前!」
斎「いや、あんたはここにいろ。」
藤「お前はさっさと国に帰れよ!」
追い付いた二人が私の手を握る。
「これからどうなるのよ私…///」
先を思い遣りながら空に輝き始めた一番星に苦笑いを浮かべた。
end (・∀・)ノシ