この国では凄くもてなされた。
入った店屋で私が手に取った簪と言う物をある娘が欲しがり、譲ったからだ。
その娘は宰相と呼ばれる官職の娘らしく、宿の決まっていなかった私はその娘の提案で泊めて貰える事となったんだけど…
「絶対私じゃない!!」
娘「せやけど神棚の御供え物があんたの口元に付いとったやないの」
藤「なぁ!こいつ…お、俺が嫁に貰うから許してやってくれねえか!?///」
神棚に御供えしていた白米が無くなり、なぜか寝ている私の口元に米粒が付いていた。
娘「確かに一寸法師はんには恩があるけど…父上どうしはります?」
一寸法師と呼ばれている彼の名は藤堂平助。私がこの屋敷に来る前からここで世話になっている。
父「…………良かろう。一寸法師よ、そなたに免じてその娘の命は助けよう。だが早々にここから出て行くがよい」
「いやあの濡れ衣『良かったな名前!』Σ全然良くないわ!」
こうして濡れ衣を着せられたままの私は平助君と屋敷を後にした。
「平助君はこれからどうするの?」
藤「ん?そうだなー、まぁお前とならどこに行ってもいいけど!」
「…………え。一緒に来るの!?」
藤「あったりめーじゃん!お前は俺のよ…嫁さん…なんだからさ!!///」
「Σそれってさっき平助君が勝手に言っただけじゃない!///」
藤「何言ってんだよ。俺がああ言ったから名前は助かったんだろ?それに俺も屋敷を出る嵌めになったし…責任取って俺と夫婦になれよ!///」
「Σ急にそんな事言われても…///大体平助君小さいじゃない」
藤「Σあー!人が気にしてる事を言いやがって!」
「気にするとか以前の小ささだから。一寸だよ?あ、そう言えば打出の小槌って宝物の話をどこかで聞いたなぁ」
藤「打出の小槌?なんだそれ?」
「詳しくは覚えてないんだけど、確か小さい物を大きく『今すぐ行くぞ!!』いやいや、場所とか分かんないから」
藤「そこら辺で聞けば誰か知ってるだろ!早く立てって!」
「…………人の肩に乗ってる癖に威張るな」
藤「細かい事言うなって。俺が大きくなったらいくらでも姫抱きしてやるからさ!」
「見返りがそれ!?///」
私達は街のあちこちで聞き込みをして、最近京の街を騒がせている鬼が持っているという情報を掴んだ。
「可愛いねぇ」
風「鬼の頭領であるこの俺を可愛い等と罵るとは…貴様、覚悟は出来ているのだろうな」
「あ、ごめんごめん。ねぇ僕、打出の小槌って知らない?」
鬼の住み処と言われる屋敷に行く途中、五才程の鬼と名乗る男の子二人に出会った私達は小槌の事を聞いてみた。
天霧「打出の小槌?でしたらこちらでは?」
一人の男の子が手に握っていた小槌を差し出した。
藤「なんでお前みたいな餓鬼が持ってんだよ!?」
風「フンッ…童らしく戯れていたのだ。そもそも貴様の方が小さいではないか」
藤「Σ煩えよ!小さくても俺は大人だ!とにかくそれを貸してくれねえかな?」
天霧「ええ、構いませ『断る』…風間」
風「欲しければ力づくで奪え」
「力づくって僕ねぇ『ならば俺が相手になろう』──え?」