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告白ってさ。
こう・・言うほうはドキドキして、言われるほうもなんとなくその空気が感染して。

頬染めながらうつむいちゃうとかなんじゃないの?

いや、百歩譲ってそこまで照れなくても。
なんかためらいとかあるじゃん。





風「我が妻よ、迎えに来たぞ。」




こいつの辞書にためらい、照れ、遠慮とかいう文字はないんだな。









高校に入学して一ヶ月。
そのへんから私の高校生活は怪しくなってきた。


 「ねぇねぇ知ってる?」

クラスの女の子達が何か話しているのが耳に入った。

 「何?」

 「なんかね、3年生に風間先輩って人がいるらしいんだけど。この学校で一番もてるらしいのよ。」

 「知ってる!私見たよ。ハーフみたいな顔立ちだった。」

 「やっぱり噂本当なんだ!見に行こうかな。」

 「でもどんな綺麗な人が告白しても相手にしてもらえないらしいよ。」

 「そうなのー?」

 「ま、見るのはただだし、いこっか。」



すごいね。乙女は。
かっこいい人がいたら見に行くのね。
目の保養は大事だもんね、確かに。

でも。

私のおもーい腰はそれぐらいじゃ動かないんだな〜。

平「おーい名前。今購買のお菓子半額だぜ!」

 「まじで?!いくいく!!!」


重かったはずの腰はたやすく動いた。

私の中ではお菓子>イケメンの図式が中学生から変わってない。


 「平助ナイス!」

平「だろー。」

クラスメイトの平助とルンルン気分で購買へ向かう。
時々お菓子や飲み物が安くなってたりするんだけど、いつ安くなるかは決まってないのだ。つまり、運。


 「けっこう人いるねー。」

半額になっているだけあって購買はにぎわっていた。
チョコとーじゃが○ことー。
ある程度お菓子をゲットし、レジに並ぶ。


――スッ


並んでいると目の前に人が入った。
つまり。

割りこみ?


 「ちょっと。並んでるんですけど。」

目の前の人の肩をたたいて声をかけた。
私より背がだいぶ高い。
先輩かな?


 「・・貴様、俺に指図するのか?」


 「は?」

え?
聞き間違い?

貴様とか言われた?


振り向いたその人はだいぶ整った顔の人だった。
世間で言うイケメンですよね。
いや、でもイケメンとかそんなの関係ないから。
割りこみしない、これルールだから。


 「指図とかじゃなくて、常識です。」

 「1年か?」

 「そうですけど。学年も関係ないですよ、割りこみはだめです。」

 「名前は?」

 「名前ですけど・・。」

何、もしかして呼び出しでもされんの?
顔が整っているだけに真顔だと怖いんですけど。

平助どこいったわけ!?


 「おもしろい。俺にそんなに意見してきた奴は初めてだ。」

 「・・。今までどんな人生歩んできたんですか、あなた。」

 「風間だ。」

 「は?」

風「俺の名前だ。」

 「はぁ。そうですか。風間先輩、というわけで私の後ろに並んでください。」

風「ククっ・・。貴様本当に変わっているな。」

 「いや、変わっているのはあなたですけど。」

あれ?
いつの間にかみんなこっち見てる。


風間に平気で話しかけてるぞとか。
風間先輩があんなに長く女の子と話してるとか。


そういえば。
クラスメイトが言ってた風間先輩ってこの人?


いたたまれなくなり、お菓子を買うとダッシュで教室へ帰った。

    

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