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「土方さんって絵からでてきたみたい。」

名前がそんなことを言い出したのは朝餉の時だった。

「・・何いきなり言ってんだよ。」

俺は冷静を装ってご飯を口に入れる。

「だって綺麗な顔じゃない?」

俺達から少し離れたところに土方さんは座っていた。近藤さんと話している顔立ちは確かに整っている。

「いつも見てるじゃん。」

「改めて思っただけ。」

そんなじっと見つめるなよ。
あ、ほら、土方さん気付いちまっただろう。
眉間にしわよせて、何見てんだって言ったけど、内心あれ喜んでる。

「名前ちゃん、そんな人見てないで僕見てよー。」

向かいから手をひらひらふるのは総司だ。

「名前、俺の卵やろうか?」

「え?いいの?!」

横からえさで釣ろうとするのは左之さん。

そう。
みんなこいつが大好きなんだ。

みんなが恋敵なわけだ。

    

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