お千「あいっかわらず頭いいよね、名前ちゃんは。」
千「本当だね。」
「そんなことないって。」
廊下に張り出されたテストの順位表を千鶴とお千ちゃんと眺めていた。
総合順位一位:名字名前
と書かれた紙を見つめる。
何が何でも一番をとりたいと思ったことはないけれど、勉強は昔から嫌いじゃなかった。
知らないことを知っていくのはとても楽しいから。
お千「この前後輩が勉強教えてください!!って来てたよね、クラスまで。」
千「うん。みんな必死で可愛かったね。」
どこから聞いたのか、名前も知らない一年生の女の子達に勉強を教えてほしいと言われたのはテスト前のこと。
面倒みるのは嫌いじゃないし、みんな良い子だったから勉強を一緒にした。
日に日に人数が増えていって最後は教卓に立って教えていた。(なんでだろ…)
千「テスト終わってお礼良いに来る子多かったね。」
「あーそうだね…。みんな律儀だね。」
お千「律儀というか、ファンなのよ、ファン。」
「ふぁん?」
お千「名前ちゃん、後輩の女の子からすごい人気だよ?落ち着いているし、頭良いし、勉強を教えてくれる姿がかっこいいって。」
「か…かっこいい?」
お千「しかも何でか年上からも人気なんだよね。可愛がられるでしょ?」
「うーん…。どうだろ?」
確かによくお菓子もらったりするかな…先輩からは。
千「すごいね、名前ちゃん。」
「すごいの?これ。」
お千「女子の人気一人占めで男子が可哀想ね〜。」
ケラケラ笑うお千ちゃん。
喜んでいいの?私。
土「おい、名字。ちょっといいか?」
背後からいきなり声をかけられる。
振り返るまでもなく担任の土方先生だとわかった。
「はい?」
土「職員室に来てくれ。」
そう言うと土方先生はスタスタと歩き出してしまった。
私の両隣りに立っていた千鶴とお千ちゃんは珍しい光景を見るような目で私を見る。
お千「名前ちゃんが呼びだし?そんなことあるのね。」
千「きっと何か用事があるだけだよ。」
「呼び出されるような覚えはないけれど…行ってくるね。」
二人にそう言って私は先生の後を追うように廊下を歩いた。