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私は多分我儘だ。


絶対貴方は先に逝ってしまうのに。


貴方と離れたくなくて。


貴方を放したくなくて。


だけど。

















とても幸せです。
























茜色に空が染まるのを見つめていた。
縁側で一人お茶を飲む。






 「平助君、もうすぐ秋になるね。」





返事なんてないのに。
それでも。
隣を見ればそうだなって笑う貴方がいる気がするから。




私はつい声をだしてしまう。




貴方がいなくなってから一年が過ぎた。
二人で過ごした時間は本当に幸せで。
どの一瞬も宝物だ。





いつか平助君に言われたことがある。




――俺はお前より先に死ぬよ?




きっと彼は私を離そうとしたんだろう。
置いていってしまうことが耐えられないと。
優しい平助君だからきっと。




だけどそれでも傍にいたのは私だ。




貴方と離れるぐらいなら。
一人貴方との思い出に囲まれて生きていく方が。
ずっとずっと幸せだから。




もう私を抱きしめてくれることも、
撫でてくれることも
好きだと囁いてくれることもないけれど。




それでも私は幸せだから。



苦しくなんかない。
幸せなの。


だけど、そうね。




やっぱりもう少しだけ。


一緒にいたかったな。







 「平助君。」



はなしたくない。




 「平助君・・。」



はなれたくない。



 「っ・・・う・・。」



あの時は、死ぬのが怖かったのに。



 「う・・うぅ・・。」



今は怖くない。あなたに会えるのなら。




 「好きだよ・・。」




痛い。貴方と一緒にいられないことが。




 「大好き・・。」



痛い。貴方を失ってしまうことが。











平「好きだよ。」










声が聞こえた気がした。







平「俺はずっとお前と一緒にいる。」








笑ってくれている気がした。











平「だから、泣くな。生まれ変わってもお前を探すから。」








抱きしめてくれている気がした。







平「お前も俺を探して。名前。」








当たり前じゃない。




きっと生まれ変わっても。



一緒にいよう?
あなたの隣にきっといくから。



だから、待ってて。

   

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