3 



 「よし!準備できましたね、斎藤さん。」


斎「そうだな。」


なんとか準備も終わり、あとは運ぶだけ。


 「今日はお魚がありますから、皆さんに喜んでいただけます。」


斎「そうだな。」


あれ?斎藤さんそうだなしか言っていない。
斎藤さんのほうを向くと
こちらをじっと見ていた。


 「どうか・・しましたか?」


斎「いや、たとえあんたが料理が下手でも。」


 「?」


斎「一生懸命作ってくれているのだ。それだけでいい。」


 「ありがとうございます。」


斎「それから、俺は自惚れていいのだろうか?」


 「え?」


斎「先ほどの言葉。まるで好いてくれているようだったのだが・・。」


 「なっ///」


前言撤回。
鈍感なんかじゃない。
それどころか


斎「どうなんだ?名前。」


いつもと違う微笑み。
なんか少し意地悪?!


 「し・・知りません!!!!」


私はお膳を持って広間へ逃げた。
あの微笑みに耐えられなくて。



斎「朝餉が終わったら、俺の気持ちも伝えなくてはな。」



そう呟くと斎藤もお膳を持って広間へ向かうのであった。


名前が少し指を切っただけで
慌てるぐらい
斎藤も名前を好きだったということを
まだ名前は知らない。



  end 

 ←short story
×