総司と付き合う・・フリをする作戦。
あんだけ面倒くさそうだったのにどういう風の吹きまわし??
でもまぁありがたく手伝ってもらうか。
次の日の朝からそれは実行された。
朝から総司が私を迎えに来て一緒に学校へ行くことになった。
風紀委員の斎藤君は門の所へ立っているから絶対に会うはずだ。
仲良く登校しているところを見せるらしい。
仲良くって・・一緒に学校来たぐらいで付き合ってるなんて思うかな??
「ねえ総司。毎日のように一緒にいるのに今更学校に一緒に行くぐらいで付き合ってるって思う??」
沖「ん?あー、任せておいてよ。」
学校の校門が見えて斎藤君の姿が見える。
向こうもこっちに気付いたらしい。
いつもなら朝のスキンシップとか言って風紀委員のくせに抱きついてくるんだけど・・。
沖「よし、行こうか。」
「え!?」
ぐいっと総司が私の手をとった。
ちょ・・ちょっと!
何で手、繋いでるの!?
沖「一君、おはよう。」
斎「総司・・その手をはなせ。」
「そそそ総司!?」
沖「嫌だよ、この子僕のものだから。一君いい加減諦めてね?」
そう言うと総司はそのままぐいぐいと私を引っ張って校舎のほうへ歩き出す。
斎藤君が追いかけてきそうだったけど南雲君にとりおさえられていた。
「総司!?」
沖「これで今までとは違うんじゃない?」
「それはそうだけど・・。」
総司の作戦はまだまだ続く。
休み時間も。
沖「はい、名前ちゃん。」
「え・・!自分で食べるし・・。」
沖「僕が食べさせてあげたいんだけどな?」
そう言って総司は私にポッキーを食べさせようとする。
いや・・恥ずかしいんだけど、クラスのみんないるし。
平「・・そういうのは外でやれよ。」
沖「あれ?平助妬いてる?」
平「妬くか!・・ってか大丈夫なのかよ、一君。」
ちらりと斎藤君を見るとものすごい目でこっちを見ている。
こっちというより多分総司だけど。
大丈夫!?総司本当に刺されたりしないよね!?
沖「さっき付き合ってる宣言しちゃった☆」
主・平「「はあ!?!?」」
沖「あーあ、後ろに気をつけて帰るようにしなきゃなぁ〜。」
飄々と言ってるけど本当に・・大丈夫ですよね?
それでも。
斎藤君は私の近くに来ないままだった。
なんだかずっと話してない気がするな。
あんなぐいぐい来る前は普通に話してたんだよね。
勉強のこととか。本のこととか。音楽のこととか。
あの時は楽しかったんだけどな〜。
平「名前?どうしたんだよ。」
「いや、前に斎藤君と話してた時は楽しかったんだけどなって思って。」
平「え?」
「いや、斎藤君が普通の時の話ね。」
平「ああ。まあ確かに前は仲良かったよな。」
だから。
これからも普通に話したいと思うのは勝手なのかな。
突然こなくなるとこれからもずっとこんな感じになるんじゃないかと思って少し寂しかった。
あれ?
寂しいって言った?私。
いや・・いやいやいやいや!
「まさかね・・。」
平「?」
沖「・・・。」
授業開始のチャイムが鳴り、私は教科書を取り出した。