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 「・・もうどうすればいいの?」



平「んー。」


沖「1諦めて彼女になる 2諦めて身を委ねる 3諦めて仲良くする。」




 「全部一緒だから!」



駅前のアイスクリーム屋さんはけっこう人気で周りは学校帰りの子ばかり。
私達は店内でアイスを食べてながら話していた。



平「とりあえず一回彼女になってみれば?愛されるのは幸せかもしれないじゃん?」



 「私好きな人と付き合いたいもん。とりあえずとか嫌だ。」



沖「へえ・・乙女なこと言うね。」



 「うるさい悪魔。」



机につっぷして考え込む。
どうすればいいの?
どうすればストーカー・・いや、斎藤君に諦めてもらえるの?




沖「逆になんで一君は好きになれないの?」



 「え?」



平「そうだよな。一君を好きになる可能性ないのかよ。」




好きになる可能性?
だってねじふっとんでるし。
ぐいぐいくるし。



沖「どうすれば一君のこと好きになれそうなの。一君はどこなおせばいいの?」



 「えー。どこって・・。控えめになってくれれば・・まだいいかなぁ。」



多分ものすごい勢いでこられるとひいちゃうんだと思うんだ。私。
さほど恋愛経験ないから。



 「私みたいな子を好きって言うのがピンとこないし。信用できないんだよね・・。」



平「あんなに真っすぐなのに信用できねえって一君可哀想・・。」



 「うるさいなぁ。だってありえないじゃん。斎藤君もてるのにさ。」



沖「まぁ名前ちゃん普通だもんね。」



 「どーせ普通ですよ。」



溶けかけたアイスを一気に口にほうりこむ。
甘みよりも冷たさが頭に響いてキーンとなった。




まあ・・謙虚な斎藤君なら。
ちょっと素敵かもしれない・・よね。























―翌日―












斎「おはよう名前。さみしくなかったか?」





自分の席につく直前、斎藤君に捕まりました。
上の台詞は抱きしめられながら聞きました。




謙虚とかありえないね、そうだよね。










 「は・・はなして!!!!」



斎「何故?」



 「何故じゃない!」



沖「朝から賑やかだね。」



平「おう。いつも通りって感じだな。」



 「そこの二人助けて!!」




斎「朝のスキンシップだ。」



 「これはスキンシップじゃなくてセクハラって言うんです!!!」



なんで朝から抱きしめられなきゃいけないんだ!?
くそぉ・・綺麗な顔立ちだからドキドキしてしまうのが悔しい。




 「近づかないで!ストーカーがうつるから!」




平「ぶっ・・そんなもんうつんねえって!」



沖「病気といえば病気だからうつるかもよ。」



 「だから笑ってないで助けてってば!」



斎「俺はストーカーではなくて一途なだけだ。」



 「一途に謝れ!一途をはきちがえるなぁ!」




沖「はいはい、一君。その辺にしておいて。風紀委員さんが女の子に抱きついちゃだめだと思うよ。」



斎「む・・。」



そう言うと総司は斎藤君の手を掴んで廊下に出ていってしまった。
なんだかよくわからないけれど助かった!



平「朝から大変だな、名前も。・・で、どれにするか決まった?」



 「何が?」



平「昨日の総司の言ってた1,2,3。」



 「全部諦めるやつでしょうが!諦めません!!」




平「まぁいつまでもつか楽しみだな。」



こいつ・・他人事だと思って。


授業が始まる直前。
総司と斎藤君は戻ってきてそれぞれの席についた。



 「ありがと、総司。」



沖「ん?どういたしまして。」



総司はにこっと笑いながらそう言うと前を向いてしまった。

   

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