永「それがまたもうすごい可愛いんだよぉ!!!!!」
ガンッとジョッキをテーブルに叩きつけて叫んだ。それを呆れた目で見るのはこの酒場のマスターでもあり、俺の親友の原田左之助。
原「おい、新八。乱暴に扱うな、割れるだろーが。」
平「ってか新八っつぁん、そんな年下の子に手だしたら犯罪だよ、犯罪!」
ぎゃはははと笑いながらつまみに手を伸ばすのは近くで店を開いている平助だ。
永「は・・犯罪なわけあるか!お前と同じぐらいだぞ平助!」
平「おっさんはあきらめろってー。俺ならやだもん。クレープ屋のおじさんとか。」
永「てめっ・・。」
斎「それでは新八も俺や総司と共に働くか?」
横で静かに飲んでいたのは斎藤だ。
こいつは今、城の警備兵をしている。
ここにいない総司もだ。
平「まぁ、確かにお城で警護している兵隊さんのほうがかっこいいよな。」
斎「平助もどうだ?左之も。新八や平助、左之の腕ならすぐに入隊できる。」
平「うーん。でも店があるからなぁ。ね、左之さん!」
原「なんで俺にふるんだよ。ま、いきなり店たたむわけにもいかねぇな。」
平「新八っつぁんはいつでもたためるっしょ!一君に言ってもらって兵士になったほうがいいって。」
永「ばかやろう!俺のクレープを待っている子供たちがどれだけいると思ってるんだ!」
平「え?どれだけいるの?俺の両手で数えきれるぐらいでしょ?」
永「平助ー!!!!」
平「わわわっ!冗談だって!一君助けて!」
俺達が店の中で大騒ぎしているとドアベルが鳴り、人が入ってきた。
原「おう、総司。お疲れ。」
沖「疲れたー。あ、左之さん。僕にも何か作ってー。」
原「少し待ってろ。」
斎「遅かったな、総司。」
俺達のところに迷うことなく座った総司に斎藤が声をかける。
沖「え?あぁ。いろいろあったんだよ。一君今日休みでラッキーだよ。」
平「どうしたんだ?」
沖「姫が城を抜け出しちゃってさ。もう大騒ぎ。土方さんとか激怒だよ激怒。僕達みんなで探してさっき姫自ら帰ってきたの。」
土方さんってのは・・確かこいつらの上司だったな。んでもって姫さんのお守もしてるとか。
斎「そ・・そのようなことが。」
沖「んで、さっきまで姫と土方さんの壮絶なバトル・・あ、口だよ?口げんかを聞いて帰ってきたってわけ。疲れた。」
原「大変だったな。ほら。」
沖「わーお腹すいてたんだよね!ありがと、左之さん。」
目の前に出された飯に総司は手を伸ばした。
食べながらも愚痴は続く。
沖「もうさ、土方さんもそんなに心配なら首輪でもつけておけばいいんだよ。」
斎「総司!姫にそんなことができるわけ・・。」
沖「姫なんて可愛いもんじゃないでしょ、あの子。ものすっごいじゃじゃ馬だし。」
平「そうなのか?!俺、姫様みたことないからなぁ。」
俺も国王の顔は認識してるが・・姫は知らないな。
なかなか表にでてこないから。
沖「見た目は可愛いんだけどね。あ、でも今日見られるよ、みんな。」
原「どういうことだ?」
沖「王様が国のみんなに発表したいことがあるって。国営放送流すから。左之さんテレビつけてー。」
総司に促され、左之がテレビのスイッチを入れた。
ちょうど発表が始まるところだったのか、見覚えのある国王の顔がうつった。