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 「平助君・・起きてる?」



平「名前?!お・・起きてるけど。」




襖の向こうの彼に呼びかけるとガタンッと跳び起きた気配がした。


もしかして寝るところだったかな?
そうだったら悪いな・・


とか考えていたら目の前の襖がゆっくり開いた。



平「どうしたんだよ?こんな時間に・・。」



目の前の彼は髪をほどいていて、昼間と雰囲気が違った。少し大人っぽいというか・・。



平「・・名前?」



心配そうにのぞきこんでくる彼と目があって、見とれていたことに気がついた。




 「あ・・あのね。」



平「ここじゃなんだし・・入れよ。」



 「うん。」



彼に促され、中に入りそのまま正座した。
彼も目の前に座る。



平「何かあったのか?」



どうしよう。
なんか心配されてる?


そうだよね。
だってこんな時間にいきなり行ったら、何かあったと思うよね。


それどころか・・。

あれ?

こんな時間にいくってまずいよね?

土方さんに見つかったら確実に雷が落ちるし。






それなのに。



 「平助君の口癖って何?」



って聞ける!?

いや、聞けない。だめだ。

こんなくだらない内容の為にこの時間にくるなんて。





頭の中はどうしようどうしようと焦っていたのだが、表情がない私を見てますます平助君が心配そうな表情になる。



平「あのさ・・。何かあったなら言ってくれよ。俺、できることはするからさ。どうした?」



 「あの・・・。」



だめだ。
引き延ばせば引き延ばすほどよくない気がする。



平「ん?」


ごめんね。平助君。
そんな優しそうな表情しないで。
聞くのが申し訳ないから。



 「平助君の・・口癖って何かな。」



平「・・・・・・・え?」



そんな綺麗な目で見ないで。
そして目を丸くしないで。



 「あの・・だから・・平助君の口癖って・・いや、ご・・ごめんなさい!!!!!」



居たたまれなくなり私は立ちあがって部屋を飛び出す・・つもりだったのに。




平「待てって!」



手首を掴まれて先へ進めない。




 「ごめんね・・その・・原田さんとみんなの口癖の話になって。平助君のが思いつかなくて。どうしても気になっちゃって・・。」




平「で、聞きに来たわけ?」



 
 「ごめんね!もう寝るとこだったよね?明日にすれば良かったってここに来てから気付いたの。」



平助君に手首を引っ張られ私は再びそこに正座する。




平「お前なぁ・・。」




平助君はガシガシと頭をかいて呆れ顔になる。
その様子に私はさらに落ち込んだ。




平「あーもう暗い顔すんなって!俺の口癖だろ?えーっと・・・・。」



そう言って考え出す平助君。
正直自分の口癖って気付くの難しいよね。
平助君自身わかってないかも。



 「平助君が一番言う言葉ってなんだろ。」


平助君と一緒に私もまた考え出した。
でも思い当たるものが何もない。



平「でもなんでそんなに気になるんだよ。俺の口癖なんてさ。」



 「だって知りたいよ。一番好きな人のことはなんでも。」



平「そっか・・一番好き・・え?」



 「え・・?あ!」


つい言葉が出てきてしまった。


驚いた表情の平助君。


段々と顔に熱が集まる私。






今・・・

好きって言っちゃった?

   

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