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お茶を注ぎ、部屋へ戻る途中、昨日のことを思い出す。

 「どうしたら子供扱いされないんですか。」

沖「うーん・・土方さんは難しいね。あの人頭固いから。頑固だよねー。」

 「何かいい方法ないんですか!?沖田さん!」

沖「そうだねー。じゃあご奉仕しますって言ってきて。」

 「??ご奉仕ですか?」

沖「うん。なるべく上目遣いで、色っぽくね。」

 「い・・色・・。」

沖「・・・・・。名前ちゃんにはちょっと難しいかな。」

苦笑いの沖田さんに思わず負けず嫌いの血が・・。

 「難しくありません!それぐらい言ってみせます!!!」



 「ってな感じだったけど・・。あれを言ったところで何になるんだろう。さっきも言ったけどお茶ふきだされただけだし。」

考えていると土方さんの部屋についた。
声をかけて中へ入る。

 「土方さん、お茶です。」

土「おお。悪いな。」

またふきだされたら困る。
ゆっくりと飲み込むのを確認して私は口を開いた。

 「土方さん。」

土「なんだ?」

 (上目遣い・・。)

土「な・・なんだよ。」

 なるべく上目遣いをし、自分なりの色っぽいという声をだしてみる。

 「ご・・ご奉仕しますから・・その・・好きです。私の気持ち、ちゃんと聞いてください!」

土「///お前・・それ、誰にきいた。」

 「それ?」

土「奉仕って。」

 「沖田さんです。」

土「・・・・あの野郎。お前意味わかってるのか?」

 「わかってますよ!」

胸をはって答えた。

そりゃ土方さんが好きになってくれるならなんでもしますよ。
お茶くみも肩もみもお掃除も、なんなら食事のお世話まで。

土方さんは小さくため息をつき、お茶を机においた。

土「本当にわかってるのか?総司がどういう意味でそれを言わせたのか。」

 「?どういうって・・。」

土方さんがゆっくり近づいた。

あれ?
気が付いたら倒れている・・・私が。
倒れているというより、これは・・

 (おおおおお押し倒され!?!?)

視界には天井と土方さんの綺麗な顔。
眉間のしわも良く見えます。

いや、そうじゃなくて。

土「あいつの言う奉仕はこういうことだ。」

そのままその綺麗な顔が近付いてくる。
額に何か触れた。

唇でした。


 「え!?あの!?」

温かい唇がそのまま瞼へおり、頬を通り、耳元へ移動する。

土「子供扱いされたくないんだよな。」


耳元で低い声が・・
顔が熱い。
多分今まで生きてきた中で一番の赤面だろう。

 「あの!土方さん?ちょっと待って・・。」

肩を掴んで押し戻そうとするが、すぐに腕を掴まれた。
もう何も抵抗できない。

土「たっぷりご奉仕してくれるんだろ?」

意地悪そうに笑うその顔も素敵です。
いや、違う違う違う!
あれ?なんでこんなことに・・
心の準備とか、いや、その前に土方さんの気持ちとか聞いてないんですけど。

そんなこと考えているうちに土方さんの手が胸元にのびる。

 「ちょっ・・待っ・・土方さん・・。」

思わず目を閉じた。


少し間があき。

 (あれ・・何も・・されない?)

ゆっくりと目をあけた。
そこにはいつもの優しい顔をした土方さん。

土「何もしねーよ。お前がいいって言うまで。」

 「え?あの・・。」

土「どうせ総司にどうすれば子供扱いされませんか?とか聞いたんだろ。」

 「う・・。」

土「こんなんで固まるようじゃお前はやっぱりまだまだガキなんだよ。」

その通りです。
いやなわけじゃなかったのに。
やっぱりちょっと怖かった。

土「別に急いで大人になる必要ないだろ。」

 「え?」

土「昔から見てるんだ。別に今更あせらねぇ。待っててやる。」

 「あの・・。」

土方さんは起き上がり怒ったような、照れたようなそんな顔で

土「ずっと前から子供だと思ってねぇ。」

 「それはつまり・・。」

土「全部言わなきゃわかんねぇか。」

 「はい。全部言ってください。」

土「・・。お前が思うより前から好きだ。ずっとお前が大人になるのを待ってた。そしてこれからもそのつもりだ。だから。」



そう言うと土方さんはゆっくりと優しく抱きしめてくれる。

土「焦るな。ゆっくりでいい。」

 「ひ・・ひじかたさ・・。」

土「好きだ。名前。」

涙が止まらない。
やっぱり私はまだまだ子供だ。

 「すぐ大人になります!ご奉仕します!!!」

土「もうそれを言うのは禁止だ!」




その後、沖田が土方に呼び出され3時間ほど説教されたことを名前は知らない。



  end 

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