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屯所についてから土方さんのところへ行った。

名前ちゃんについて聞くためだ。

土「あいつの家族?あぁ、父親がいたんだが、病気でな。ここにくる少し前に死んでいる。それもあってここの仕事を始めたんだろう。」


――きっと私をおいていってしまうでしょう?

そんな顔させたかったわけじゃない。
あんな泣きそうな笑顔を見たかったんじゃない。

君は

また一人になるのが

怖かったんだな。


永「ありがとな!土方さん!」

土「おい・・。」


土方さんが何か言ってた気がするけれど飛び出した。
もちろん向かうのは名前ちゃんの部屋。



永「名前ちゃん!」

返事を聞く前にふすまをあけた。

目をまんまるにしてこちらを見ている。

 「・・・勝手に入らないでください。」

ごもっとも。

永「好きだ!」

 「!?だ・・だから、それはお断り・・。」

永「俺は君が好きだ!絶対に君を一人にしない。」

 「・・永倉さん、ご自分の仕事なんだかわかって仰っているのですか?」

名前ちゃんが伏し目がちに呟く。

知っているさ。

明日死んでるかもしれない。

命の保証がないことぐらい。

永「それでも!俺は死なない。君を置いていかない。」

ゆっくり近づいて抱きしめた。
名前ちゃんは俺の腕の中で静かにいた。

 「だって・・危ない仕事じゃないですかぁ・・。」

いつもの強気な声はなかった。
泣いているせいか声がかすれている。

 「死んでしまったら・・私また一人・・。」

永「死なない。」

 「でも・・。」

永「ずっと一緒だ。何が何でも生き残る。」

 「・・っく・・ひっく・。」

永「だから、俺のそばにずっといてくれ。」

 「はい・・。」

永「名前がいれば俺はずっと生きていける気がする。」

これは本当だ。
嘘じゃない。

 「私を置いて死んだら、しめ殺します。」

そう言って笑った君は
今までで一番きれいだった。



  end 

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