「いや、やっぱり待ってくれ。」
「え?」
山崎君の言葉に顔をあげる。
すると彼は真っすぐ私を見てくれた。
「こういうことを言わせるのは卑怯だ。」
「山崎君…。」
ああ、やっぱり。
好きだな。山崎君。
「俺は無視したわけじゃない。いつも沖田さんが…。」
「総司?」
何で急に総司が出てくるの?
「君の隣にはいつも沖田さんがいるだろう。だからその…。」
「?」
「君達が付き合ってるんじゃないかって。」
「ええ!?あ…ありえない。」
「君がそうは思わなくても沖田さんは…。」
「ないない。もううちら家族みたいなもんだから、そんな風に見たこと一度もないよ。総司彼女いるし!!」
「そ…そうだったのか。」
山崎君は少しほっとしたような表情でため息をついた。
私と総司が付き合ってると思ってたんだ。でもそれが何で無視と繋がるの?
「君のことを考えるようになっていた。」
「え?」
「怪我の手当をしてから君のことをよく見るようになった。始めは怪我の具合が気になっていただけだったんだが…その…笑っているところを見たり、俺に話しかけてくれたりするからどんどん気になってしまって。」
「山崎君…それって。」
「妬いてたんだ。沖田さんに。それでつい目を逸らした。二人並んでいる姿を見ていたくなかった。」
ねえ、山崎君。
今度は私が自惚れてもいいのかな?
「私…山崎君の好きな人になりたい。」
私の言葉に山崎君の目が丸くなる。
でもすぐにふわっと微笑んでくれた。
「俺も君の好きな人になりたい。」
「もうなってるんだけどな。」
「君もだ。」
ねぇ、山崎君…
お祭りに行きたいと切り出した私にとりあえず体調を整えてくれと照れ隠しに言った貴方を私は好きみたい。
でもすぐに一緒に行こうと言ってくれるところも。
少し照れたように頭を撫でてくれるところも。
全部全部好きみたい。
神様。願い事叶えてくれてありがとう。
私これからもずっと彼の好きな人になり続けられるようがんばるから。
「山崎君。」
「?」
「大好き!」
山崎君の真っ赤な顔に思わず顔がにやけてしまう。
恋人になるということはこういうことなんだと知ることができた。
「君は…。」
「え?」
「何だかこっちだけ余裕がないみたいなのは癪だ。」
そう言った山崎君がこの後何をしたかはご想像にお任せします。
でもとりあえず…
私幸せです!!!
終