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次の日。
僕は約束の時間に間に合うよう、屯所を出ようとした。
玄関にいると後ろから少し慌てたような声。


近「総司!」


沖「どうしたんですか?近藤さん。」


近「浪士達が斬り合いをしていると知らせが入った!今斎藤君達が向かってくれているのだが…ああ、総司は非番だったな。」


沖「!…わかりました。行きます!」


近「しかし…。」


沖「大丈夫ですよ。近藤さん。」


そう伝えると僕は近藤さんに聞いた場所へ向かった。
もちろん、名前ちゃんのことを考えなかったわけじゃない。


だけどここで行かなかったら、僕は本当に弱くなる気がしたんだ。
新選組が、近藤さんが一番だった僕が、女の子をとってしまうわけには…いかなかったんだよ。



言われた場所へ向かうともうすでに一君たちが何人か捕縛していた。


斎「総司…どうしたのだ。」


沖「近藤さんが浪士達が斬り合いしてるって言ってたんだよ。…でも僕は遅かったみたいだね。残念だなあ。」


斎「確か今日は用があると言っていなかったか?」


さすが一君。
僕がぼそっと言っていた一言を覚えているんだね。


沖「うん。今から行くよ。じゃ、よろしくね、一君。」


斎「ああ。あんたも遅くならないようにな。」


沖「子供じゃないんだから。」



そう言って僕は一君にひらひらと手を振りながらその場を去った。
幸い名前ちゃんの店はそこからそんなに遠くない。


真っすぐに向かわず、何か手土産でも持っていこうかな。
約束の時間をだいぶ過ぎてしまった。


そんなことを考えていると前からパタパタと走ってくる子供が見えた。


子供「総司!!!」


沖「あれ、一郎じゃない。どうしたの?」


一郎は名前ちゃんが働いている店の主人の子供だった。時々ご飯を食べに行っては遊び相手になっていたんだけど。


子供「名前姉ちゃんが!!!」


沖「!?」


青い顔した一郎は僕の腕を掴むと息を切らしながら説明した。


子供「知らないおじさん達が入ってきて…名前姉ちゃん…連れてかれたんだ…。父ちゃんと母ちゃんいなくて…俺…俺…。」


沖「そう。怖かったね。どっちに行ったかわかる?」


子供「あっち…。どうしよう、総司。」


沖「大丈夫だよ。僕が連れて帰ってくるから。ねえ、何か話してた?その人達。」


子供「…お前の兄がどうとか…よくわかんない。」


沖「わかった。一郎、あっちにね、新選組の人がいるはずだから伝えてきてくれる?また店に変な人が来たら困るから。」


子供「わかった!」


きっとまだ一君がいるはずの場所を指さすと一郎はまた走りだした。


その後姿を確認して僕は名前ちゃんを捜し始めた。

   

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