先生のとなり | ナノ
 初めての温度

「最近模試の結果やら推薦の準備やらで寝てなくてな。」

「顔色良くないですよ、先生。」

「ま、仕方ねえ。ということで少しだけ休憩してんだ。」

「邪魔してごめんなさい。」

「何言ってんだよ。面接は大事だろうが。」

そう言って笑う先生、少し痩せたんじゃないかな?
眼の下のクマもすごいし。


「先生、もう少し休んでください。面接の練習明日でもいいですし。今日は…。」

「五分。」

「え?ええ!?」


座っている私の膝に先生の頭が落ちてきた。
こ…これって膝枕!?!?


「五分たったら起こせ。」

「え、あ、はい。」


返事をして数秒。静かな寝息が聞こえてきた。


「先生…本当に疲れてるんだね。」


綺麗な顔。
先生って美人だよね…この言い方があってるかわかんないけど。
整った顔立ちってこういう人を言うんだろうな。
髪とかも綺麗だし。


「…。」


そっと髪に触れてみた。
そしてそのまま撫でてみる。
先生は全く起きない。どうやら深い眠りに入ったらしい。


「先生…。」


私の声も届いていないようだ。


「先生、私…先生と出会えて進路決めたんですよ。」


先生みたいになりたいから。
生徒のことを考えてて、受け止めてくれる先生に。


「先生に頼れって言われてからお母さんやお姉ちゃんとも前より色々話せてる気がする。相談するようになったんだ。」

ねえ、先生。
先生にとって私は大勢の生徒の一人なんだよね。
でも私にとってはたった一人の特別な先生。

「ありがとう。先生。」


初めての温度


先生の温もりを感じながら。
この気持ちの意味に気付いた。
私、先生が好きです。

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