君がいる世界 | ナノ



「うー寒い。雪ふるかな?」
「だなー。こりゃ外に行かないに限るなぁ。」
「銀さん基本引きこもりニートじゃん。」
「やめてくんない!?!?その言い方傷つくんだけど!好きで引きこもりニートになってるわけじゃねえから!」

テーブルをドンと叩いて銀さんがかみついてくるけれどここではニートだからね。
私が世帯主だからね。

昨日は寒かったけど出かけたから今日はおうちでぬくぬくに決まりだ。
日曜日はグダグダ過ごすにかぎるよねやっぱり。
こたつにお茶、お菓子、テレビのリモコン、携帯ゲーム機をおいたらしばらく動かなくてすむ。ああ、ほんと私達駄目人間。

「お昼ご飯何にしようかー。」
「あー…寒いからうどんにでもすっか?」
「いいねえ。」

この後どちらがこたつから出て作るかを競ってじゃんけんだななんてぼんやりと考えていた時のこと。
いきなり天井が眩しく輝いた。

「ええ!?え!?」
「何だ!?」

白と黄色の中間のような光がふわふわと天井に佇んでいる。
あれ…これって。

「銀さん、これ。」
「あ、ああ。これはきっと。」

やっぱりお迎えだ。別れの時は突然にくるものなんだ。
私がいない時に帰っちゃうことにならなくて良かったけれど…。

私は部屋の隅に置いておいた銀さんの荷物をとると銀さんに手渡した。
銀さんは無言でそれを受け取る。

「銀さん、気をつけてね。みんなに…よろしくね?」
「凛…。」


「銀ちゃーーーん!そこにいるアルか!?」
「銀さーん!銀さん聞こえますか!?」


光の向こうから神楽ちゃんと新八君の声が響いた。
お迎えで間違いないようだ。


「神楽!新八!」
「銀ちゃん!!!!!」
「銀さん!こっちに手を伸ばしてください。僕達がそっちに行くとまた戻れなくなるので!!引っ張り上げますからこっちに!早く!!!」


銀さんはこたつの上にのぼり光に手を伸ばそうとする。
でもくるりと振り向いた。

「凛。慌ただしくて悪い。本当に世話になった。」
「うん。大丈夫だから銀さん、早く戻ってあげて?」
「…お前は大丈夫か?」
「え?」

銀さんの言葉を理解しようとした時だった。

「おいてめえら、そこで何をしてる。」

聞き覚えのある声が光の向こうから聞こえてきた。

「河原で怪しいカラクリいじってるやつがいるって通報があったんでさァ。何してるんでィ。」
「土方さん!沖田さん!」
「邪魔するなヨ!銀ちゃん助けなきゃいけないネ!」
「万事屋?」
「そういや旦那最近見かけねえな。で、それとどういう関係が…。」
「ああもう!後にしてください!こっちが先ですから!!!」
「さっさと消えるアル!税金泥棒!!!」
「税金払ってねえてめーに言われたくねえよチャイナ。星に帰してやろうか?」
「ちょっと神楽ちゃん!ケンカ始めないで!!!!」

光の向こうの姿は見えないけれど、安易に想像ができる。
きっと神楽ちゃんが沖田さんと喧嘩をはじめたんだろう。土方さんも混ざっている気がする。

「銀さん…。」
「ほんっとあいつらは…。凛、あんなとこだけどよ、けっこう楽しいんだ。お前が、お前が望むなら…。」

銀さんが私に向かって手を差し出していた。
何それ。どういうこと?
銀さん、私を置いていくのが心配なのかな?

「死ねサドォォォォォ!」
「ちょっ!神楽ちゃん!!!」
「っ!!!…あり?」
「総悟!!!」

ガシャンという音、さらに強くなる光、そして何かが落ちる音。

思わず目を閉じた私だったが部屋に静寂が戻ったのを確認してゆっくりと目を開けた。

「…あれ、銀さん?」
「え…えええ!?!?」

光が消えたのに銀さんがまだ目の前にいた。
こたつの上に立ち、私に手を差し出したまま。

「…銀さん、光…。」
「え?ちょっと…え?え???」

これは、あれだな。







戻れなかったな。











理解しているくせに理解したくないのか銀さんは「え?」しか言ってない。
とりあえず落ち着こう。何か飲み物でも飲みながら…と思った私は回れ右をしてキッチンへ向かおうとした。




ところで固まった。




「え?」
「…あんた誰でィ?ここは…?あれ、旦那じゃねーですか。」
「ええ!?総一郎君!?」
「総悟でさァ。」


そこにはサディスティック星の王子様がいらっしゃったのです。


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