夜に一言だけメールがきた。
一緒に学校へ行こうというお誘いメールだ。
私はまだ半信半疑でとりあえず了解したことを返事した。
そして次の日。
待ち合わせ場所は学校の近くの公園だった。
緊張のせいか早起きしてしまって約束の時間よりだいぶ早く公園についたんだけど。
「あれ、あんた昨日の…。」
「あ、藤堂君。」
声をかけてくれたのは藤堂君だった。
直接話したことはないけれどいつも沖田君といるし、斎藤君も含めて三人は目立つから知らない子はほとんどいないんじゃないかな。
「総司待ってんの?」
「うん。」
「何で?」
「何で??」
「いや、待つより待たせるのかなーと。」
「え?どうして?」
私の返答に何か疑問を感じたのか、藤堂君は首を傾げて私を見ていた。
そして、
「…あのさ。一つ聞いて良いか?」
「はい?」
「あんたさ。ドSじゃないの?」
「…………は?」
「いやだから、ドSなんじゃないの?」
「何のことでしょうか?」
それは沖田君のことなんじゃと言いかけたけどすぐに藤堂君が言葉を続ける。
「え!?だってすげえ告白してたからさ。付き合えなんて命令口調の奴初めてだったし…ついに現れたんだと思って…。」
「ついに?」
「だって総司ドがつくMだもん。ドM。」
「は?」
「だから、あんなんだけどMなんだって。生粋の。だからあんたの告白受け入れたんだと思うけど?」
「え…えええええええ!?!?」
「違うのかよ。あちゃー…そっか。じゃあ俺が言っておいてやろうか?別れるって。」
「ええ!?ちょっと待って!何でそうなるの!?」
「だって嫌じゃねえの?総司に惹かれる理由って大抵あの見かけとSっぷりに惚れる子が多いからさ。そうじゃないってわかったらあんたも嫌だろ?」
「いや、あの私別にドSの人が好きなわけじゃ…。」
「そうなの!?…そっか。うーん…じゃあ様子みるか。」
「へ?様子?」
「うん。お互い合えば続くし駄目なら駄目じゃん。とりあえず総司のことよろしくなー。悪い奴じゃねえからさ。」
「あ…あの藤堂君!?」
「あ、平助でいいよ。きっと俺や一君とからむこと多くなるだろうし。じゃ俺先いくわー。課題忘れて土方先生に怒られてっから今日は早めに行かなきゃいけねえんだよ。またなー!」
そう言うと彼は無邪気な笑顔だけ残して走り去っていった。
いや、ちょっと待って。
笑顔だけじゃない。
とんでもない事実を置いて去っていった。
沖田君が…ドM!?!?
まさかそんな。でも友達が嘘つく必要もないし。え、本当に?
でもそうだとしたら私のあのひどい告白を受け入れてくれた理由も…。
「おはよう、みつちゃん。」
「!?」
まだ頭がパニック状態の私に後ろから声をかけてきたのは…
まぎれもない沖田総司その人だった。
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