「調教…か。」
「は?」
「え!?あ、なっ何でもない!!!」
思わずとんでもない言葉を呟いてしまいました、みつでございます。
目の前でお弁当を食べていた親友がご飯を喉に詰まらせかけながら反応を示してくれて申し訳ない。
今日は自分の教室でお弁当を食べている。
というのもここのところ総司は補習(古典)で昼休みまで土方先生に呼び出されているからだ。ちゃんとやれば絶対良い点数とれるくせになんであんなに古典だけやらないんだろう。
あ、Mだから呼び出されてるとか好きなのかな。
「私の聞き間違いじゃなければ調教って聞こえたんだけど…あんた大丈夫?」
「ええ!?ま、まさか。あ、あれだよ。午後の体育、長距離走か…って言っただけ。」
我ながら苦しい言い訳とわかっている。
ってか何もかも総司のせいだ。
今までの私だったら【調教】なんて単語とは無縁の生活だったんだ。
総司の家の合鍵を貰ってからしばらくして、私は総司の家に遊びに行くことになった。
お姉さんが出張でいないからとか何だかちょっとドキドキしたんだよ。
だってさ、誰もいないとか…少しドキドキするような怖いような?
だけどある意味怖い出来事が待っていました。
沖田総司によるドSへの調教。
ノーマルの私にとってオロオロするしかできない時間でしたよ!
もっと冷たくとかもっと罵るとかもっと…ああ、もういいや。
でも苛めることに慣れてくると恐ろしいとわかった。
だって総司がすっごく嬉しそうな表情してさ、それがものすごくかっこよかったりして。
こっちがドキッとしたり、キュンとしたりするんだよ。
駄目だよ駄目だよと自分に言い聞かせてるけど…
私本当にドSになったらどうしよう!?しかも総司以外の人にまでそうなったら…。
「もしもーし、みつさーん。帰っておいで。」
「はっ!」
「…やっぱりあのドS王子に苛められてるの?顔が青いよ…私が一言言ってやろうか?」
「大丈夫大丈夫!!!大丈夫です!」
親友の手を煩わせるわけには!!!
…でも喜びそうだな、この子Sだもん。私の為に色々言ってくれちゃうだろうから総司がキュンとしたらどうしよう。
「なんかパシリみたいに使われたり、とんでもないこと要求されたりしてない?大丈夫?」
パシリみたいに使ってくれとか、とんでもないこと要求しろとは言われます。
「さすがに叩かれたりとかはないんだろうけどさ。精神的に追い詰めるのもDVだからね?口調がきつくてあんたが悲しいならもう駄目だからね?」
叩かれるどころか叩いてみてとか言われた時はどうしようかと思いました。
精神的に追い詰められるのが好きみたいです。
「まあ、みつは他の男子と特別親しいとかもないけど…嫉妬とかされたりするの?」
総司の親友(平助君)に弁当を食べさせた時は恍惚とした表情で見つめられました。
「…大丈夫、全部あてはまらないから。けっこう優しいよ?私の好きなお菓子買ってくれたり(用意しろと言ったから)、荷物も持ってくれるし(持てと命令しろと言ったから)、他の男の子と話してるぐらい全く気にならないんだよ…ははっ。」
「へえ、意外と優しいんだ。良かった。」
親友は安心したのかお弁当を食べ始めた。
総司と一緒にいる時間が増えて、扱いもわかってはきたけれど…。
なんか違う!私もっと普通のお付き合いが…。
「あ!!!」
「どした!?」
「そっか…何で思いつかなかったの!?」
「みつ??」
相手はドM。
それをうまく使えば良いんじゃない。
私の思いのままにできるじゃない!
「大丈夫!私、総司とラブラブになれるから!!」
「え?なれるって今は?」
親友の頭にクエスチョンマークが多数浮かび上がっていそうだけど。
今の私はそれどころじゃない。
とりあえず放課後、教室で待ってろよとメールを送りつけておいた。
うまくいけば、普通の二人になれるかも!!
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