「だだだ誰なんだよ!?」

「そうだ!可愛い美月ちゃんを一人占めしようとしてる不埒な奴は俺が許さねえぞ!」

「新八、お前が十分不埒だろうが。」

そんなに慌てなくてもいいじゃない、平助。
永倉さん、不埒って…原田さんのツッコミもひどいけど。

「変な奴につかまってるんじゃねえだろうな?」

「確かに。美月は騙されやすい性格故、一度確認したほうが…。」


なんだそれ。
ひどくない?土方さんも一君まで。
私を置いて盛り上がり始めた周りにどうしたものかと困っていると私の横に総司が座り込んだ。


「総司?」

「言ってあげれば?誰と付き合っているのか。」



そう言ってニコニコ、いやニヤニヤしている総司に私は目を丸くする。


まさか…交際宣言をしろということですか?
ここで?みんなの前で?
しかも私が!?!?



「総司は知っているのか?」

「まじかよー!誰誰?」

「あの…みんな落ち着いて。」


千鶴が慌てて止めようとしてくれてるけど時すでに遅し。
もう休憩時間は終わっているはずなのに部活の再開を指示するはずの土方さんまで私の答えを聞くまでは動きそうもなかった。




「言えません!!!」

「え?」


思わず声をあげると隣にいた総司が驚いたように目を丸くする。
目の前の平助も似たような表情で質問してきた。

「え?何で?」

「言えませんったら言えません!」


言えるわけがないよ。
別に付き合っていることを隠したいわけじゃないけどこんな堂々と宣言できるわけない。
私の答えに納得がいかないのか、また誰なのかとか騙されてないのかとか談義が始まる横で総司が静かに立ち上がった。



「総司?」

「…。」


ちらりと一瞬私を見た総司の表情は。


怒っているとも、悲しんでいるともとれる表情で。


それは初めて見るものだった。



そのまま道場を出ていってしまう総司を慌てて追いかける。
後ろからみんなの声が聞こえた気がしたけどそれどころじゃなかった。



 





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