その後ウインクキラーやコインでできる匿名クイズをして。
みんな楽しそうに飲んでいた。

少しずつだけど他の男の子達とも話をしているうちにあっという間に二時間が過ぎた。


「そろそろお店出ないとね。」

「えー!?じゃあカラオケ行こうぜ!」

「いいねー!」


まだ遊び足りないのか、一人がそう言うと他の子達も一緒に盛り上がって二次会をしようと言っていた。


私はお千ちゃんを見るとお千ちゃんもわかっていると言わんばかりに頷く。


「あ、美月ちゃんは用があるからここまでなのよね。」

「えー!?そうなの!?」

「残念だな。」

「岩崎さん、気をつけて帰ってね?」


みんなに心配そうに言われて少し申し訳ないけれど、こっそりと総司にメールを送った。


会計をすませ、外でみんなと分かれ総司と待ち合わせをしていた公園に向かう。

すると後ろからパタパタと誰かが走ってくる気配がして振り向いた。


「あれ?大森君?」

「あの…岩崎さん送ろうと思って。」

「え?大丈夫だよ?みんなと二次会行ってきて?」


わざわざそれで追いかけてきてくれたんだ。
申し訳ないことしちゃったな…。



「あー…いや、違う、ごめん。」

「??」

「俺がこっそり抜けてきたんだ。もっと岩崎さんと話したくて。」

「え?」

「俺、君のこと好きになったみたい。」


顔を赤らめて、だけど真っすぐ私を見てくれる大森君にびっくりした。
だって、さっき初めて会ったのに。


でもどうしよう。
どうやってお断りすれば一番傷つけなくてすむんだろう。
真剣に伝えようとしてくれてるのがわかるから…。


「あの…ごめんなさい!私彼氏いるんです!」

「え?」

「千ちゃんにお願いされて、数合わせで参加したの。本当にごめんなさい。」


やっぱり合コンなんて参加するべきじゃなかったんだ。
みんな友達を増やしたいとか、彼氏彼女作りたいとか目的をもって参加しているのに。目的もない私が行くべきじゃなかった。


「だから、大森君とは付き合えない。」

「彼氏知ってるの?合コンに参加すること。」

「うん。」


そう言うと大森君は怪訝な顔をする。


「俺だったら、絶対行かせないけど。」

「え?あ、最初は反対されたんだけど…。」


まさか和菓子につられて了承したとは言えない。この雰囲気で。


「その人、岩崎さんのこと本気で好きなの?」

「え!?」

「だって普通彼女が合コン行くって言って良いよっていう奴いないよ?岩崎さん、大切にされてる?」

「し…信頼してるからって。」

「信頼って…。君が浮気する気がなくても相手に無理やり連れてかれたらとか想定しないの?君の彼氏…。」

「それは…。」

想定して…くれてたのかな。
私が浮気しないとは思ってくれてるだろうけど、まさか誰かに告白されるとは思っていないよね。


「俺、君のこと大事にしたい。第一印象から素敵だなと思って、話してて楽しくて…。本当に好きになったんだ。」

「私…彼のことが好きだから。大森君の気持ちには応えられないよ。」

「少し考えてくれないかな?俺、諦められないよ。」


ど…どうすればいいの!?
諦められないって…そりゃ私もずっと総司に片思いしてたからその気持ちは痛いほどわかるけれども!
可愛い顔してけっこう頑張るな大森君!













「諦められなくても諦めてくれる?その子の好きな人は僕だから。」

















後ろから声がした。




「総司…。」

「もしかして、彼氏?」

「そうですけど、君、誰?」

「俺はさっき合コンで…。」

「ああ、合コンに参加してた人。悪いけどその子は僕の彼女だから手出さないでくれます?」

「手、だされたくなかったら合コンに行かせるなよ。」

「君には関係ないでしょ。」



…。
ものすっごい険悪な雰囲気!



「総司…かっ帰ろう!ね?」

「美月は少し黙ってて。」

「えー…。」

「俺、岩崎さんのこと、本当に好きですから。」

「好きなのは勝手だけど、美月は僕のだから。絶対に君には渡せない。」


そう言うと総司は私の手を掴んで歩き出した。
私はごめんねと大森君に言って早足の総司についていった。





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