「じゃあみんな揃ったし、かんぱーい!」

「「「乾杯!!!」」」



お千ちゃんの合図で合コンがスタートした。
といっても普通の飲み会と特に変わったことはないんだけど…。
しいていえば相手の男の子がみんな知らない子ってことぐらいで。


四対四の八人で相手の男の子は工学部の子達だった。
理系=メガネのインテリorオタク系という概念を覆すようなタイプばかり。

私の苦手なチャラそうな人が二人と可愛い系男子、スポーツ系男子の組み合わせだった。


お千ちゃんが気をきかせてくれたのか私は一番端っこの席になれた。
これで隣の女の子、目の前の男の子とだけ話していれば良いことになる。


「よろしくね、岩崎さん。」


向かい側に座ったのは可愛い系男子の大森君だった。やわらかい雰囲気で怖くないから良かった。


「よろしくお願いします。」

「もしかして…合コン初めてですか?」

「あ…はい。」

「良かったー!俺もなんです。緊張しちゃいますよね。」


困ったような笑顔に何だか安心してしまう。
とりあえず二時間だけ頑張ればいいんだし。
大森君と適当に話をしておこう。
がつがつしてないし安心。


ちらりと横を見るとみんなそれぞれ向かい合っている人同士で楽しそうに話していた。


「岩崎さんって趣味とかある?」

「え?うーん…料理とか、あと剣道部のマネージャーしてるから部のみんなと出かけるのも好きかな。」

「へえ〜。料理が好きでマネージャーって家庭的な感じするね。」

「いやいや、男らしいと評判だよ。」

「あははは。何それ。」

「大森君は?」

「うーん、物作り好きだから日曜大工かな。あと車で気ままに出かけるのも好き。」

「工学部っぽい!」

「そう?みんなもっとすごいことやってるよ。」



初対面とは思えないぐらい会話がスムーズに進んだ。話しやすい雰囲気というのもあるけど大森君会話が上手だ。きっともてるんだろうな。


もてると言えば…。
総司は合コンって行ったことあるのかな?
絶対もてるよね。女の子みんな総司のこと見ちゃうよね。
きっといろいろ質問攻めに合ったんだろうな。
総司外面いいからきっと笑顔で答えちゃってさ…また女の子がときめいちゃうんだよ、それに。



「岩崎さん??」

「…はっ!あ、ごめん。」

「大丈夫?酔った?」

「ううん、大丈夫。」



しまった。
総司のこと考えてたら話し全然聞いてなかった。
だめだ、相手に失礼だよね。


でも…総司、何してるかな。
終わったら連絡してって言われたけどもしかして近くで待ってるのかな…。
ご飯食べたかな。
一人なのかな。



…ってだめだ!また総司のこと考えてる!!!



「岩崎さん??大丈夫?」

「だ…大丈夫です。」

「二人とも、みんながゲームしようって!」

「あ、はいはーい!」

「無理しないでね?岩崎さん。」

「ありがとう!大丈夫だよ。」



助かったー!!!
他の人達はいつの間にかみんなで話していたみたいで合コンによくあるゲームをすることになった。





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