花見の席で彼女が口説かれている。

のを遠巻きに見ている彼氏もどうかと思うよね。


ただ、美月は口説かれていることに気付いてないことがわかるからしばらく眺めていた。
うん、彼が気の毒だね、馬越君だったかな。

その子の鈍感は筋金入りなんだよ。

美月は今時どこでどう育てられたんだってぐらい純粋。
少女漫画の恋に憧れてるぐらいだもんね。
普段は男かってぐらいさばさばしてるのに。

だから彼女自身の浮気は全く心配してないけれど。



「そこそこ自分も人気があるって自覚してもらわないとね。」



確かにみんなが認める可愛い子とか、誰もがふりむく美人じゃないとは思う。
だけど笑顔は人を惹きつけるものがあるし、何より中身がいいから男女問わず人気だ。
それはたとえまだ出会ったばかりの新入生だとしても、感じ取れるんだろうね。


無理やり引っ張って買い出しにつれていこ。
あ、ついでに。


(この子は僕のだから。)


彼には目でうったえておこうかな。



手を握るだけで赤くなっちゃう純粋培養娘美月をいじっていいのは僕だけだから。


(あーでも。いつまで我慢できるかなー。)


桜の木の下で抱きしめるだけで赤くなっている美月を見て、そんなことを考える総司であった。




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