「よし、お前らテーブルや椅子をこの紙見ながら用意してくれ。女子二人は菓子と飲み物準備してくれるか?入口の所に置いてある。」
「あ、はい!」
「了解でーす。」
土方さんに言われた通りに向かうとお菓子や飲み物が大量に置かれてあった。
中に運び込んでテーブルに並べればいいんだろうな。
「千鶴、そのお菓子持ってくれる?」
「美月ちゃん一人で飲み物は無理だよ。私も持つから。」
「いいっていいって。持ち切れなかったら二回運べばいいし。」
千鶴は大量のお菓子を両手に抱えると中に向かって歩き出す。
私も飲み物を持ち上げ続こうとした…けど。
(う、やっぱり一度には無理か。)
さすがに大量のペットボトルを持てるほどの腕力はなかったらしい。
一度床に置いて分けて持とうとした時だった。
「ほら、貸して。」
「総司?」
横からすっと手が伸びてきて聞きなれた声がした。
でも。
「え!?」
「どうしたの?」
声の方を向くと確かに総司が立っていた。
だけどいつもと違う。
頭の上に耳がついているし。
ふさふさのしっぽもついてる。
えーっと、その格好は…。
「なんで耳としっぽなんかつけてるの?」
「自分もつけてるじゃない。」
「あ。そうだった。」
「どう?似合う?狼男。」
「え、狼男なの??」
「…何に見えたの?」
「犬。」
「なんでハロウィンに犬のコスプレしなくちゃいけないのさ。」
呆れたような表情でペットボトルを持ち上げるとスタスタと中へ向かって歩き出す。
軽々と持っている姿を見てやっぱり男の子ってすごいなと思う。
いつもならかっこいいと思えるんだけど、今の総司の後姿はふさふさのしっぽが揺れていて…
「っ…可愛い。」
「え?何か言った?」
「いえ!何も!!」
可愛いなんて言ったら怒られそうだ。
危ない危ない。
飲み物を持っていくとそのまま慌ただしく準備に入った。
お菓子や飲み物を並べ、室内の飾りつけをしているうちにあっという間に開始時間となった。
「わー!!お菓子だ!」
「ハロウィンハロウィン!」
「とりっくおあとりーとって言うんだぜ!」
次々と小学生ぐらいの子供達が公民館へ入ってきた。
中にはコスプレしている子までいる。
うん。子供がやると可愛いや。
「トリックオアトリート!!!」
そんな可愛い子供達の前に永倉さん…いや、白いお化けが立ちふさがる。
「お化けだ!」
「シーツにくるまってるだけだろ。」
「中はどうなってるの!?」
「おい!お前らシーツめくんな!」
「永倉さん…。」
「あはは。最近の子は怖がらないよね、あれじゃ。」
シーツをめくられそうになっている永倉さんを眺めていると横で男の子達に囲まれている平助が目に入る。
「お兄ちゃん、かぼちゃなの?」
「おう。かぼちゃだかぼちゃ。栄養たっぷりだからお前ら残さず食べろよ。」
「俺かぼちゃ好き!」
「そうか!じゃあこの菓子やるよ。かぼちゃのクッキーだ。」
「わーい!」
…和むなぁ。平助と子供達。
「平助は子供とすぐ仲良くなれそうだよね。」
「まあ平助君も子供みたいなものじゃない。」
「それ、平助君が聞いたら怒るよ。」
男の子に囲まれている平助とは逆に、ドラキュラ原田さんは女の子に囲まれていた。
「お兄ちゃんかっこいい!」
「ん?そうか?ありがとうな。」
「ドラキュラなの?」
「ああ、そうだぜ。こわーいドラキュラだ。」
「怖いの??」
「血を吸うからな。」
「ご飯が血なの!?」
「そうだぞ。」
しゃがみこんで子供に目を合わせているところがさすがというか。
ってか女の子って小さくてもかっこいい男の人が好きなんだなと感心してしまう。
きゃーきゃーと原田さんの腕やら肩を掴んで楽しそうに話してるんだもん。
その後、一君の進行でゲームをしたり、プレゼント交換をしたりとハロウィンパーティは進んでいった。
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