ハロウィンってそんなに日本人に馴染みのあるものだった??
確かにその時期になると少しだけ話題には出る。
某テーマパークとかのパレードもその季節は変わるしね。
だけど海外のようにみんながみんなコスプレしてお菓子をもらいにいくわけじゃないし。
私も今までそんなことしたことない。
なのに。
なんでこんなことに???
「美月ちゃん。」
「千鶴。」
千鶴の困った顔を見て、でもその目にうつった自分も似たような顔をしているのを見て私達は互いを励ますように相手の肩を叩いた。
少し視線をずらせば大きな鏡があって二人の姿が余裕で映っている。
「ハロウィンでコスプレするのは小さい子だと思ってたよ。」
「海外は大人もするだろうけどね。まさか自分がするなんて思ってなかったよ。でも千鶴可愛いよ、魔女っ子!」
黒いローブに木の杖。
大きな黒い帽子をかぶった千鶴は魔女のコスプレ。
もう悪い魔法なんて全然かけられなさそうだね!むしろ習得してないよね。
「美月ちゃんも可愛いよ。でもどうして猫??」
「知らないよー。私も魔女が良かった。むしろいっそ狼男とかが良かった。」
自分の姿を見てため息が出る。
黒の薄いニットに黒のショートパンツ、黒いブーツ。
これはまだいいけど頭には猫耳。
お尻にはご丁寧に尻尾がついていた。
「えっと、交換する??」
「だめだめ!千鶴が猫耳なんてつけたら攫われる!襲われる!!!!!!!」
それだけはダメ絶対。
「誰も襲わないと思うよ?」
「いやいや、わかってないなー。私が襲う。」
なんでだっていうツッコミがどっかから聞こえた気がした。
「じゃあそろそろ行こうか。みんな待ってるかもしれないし。」
「そうだね。」
何もしていないのにすでに疲れた体をひきずるように、私達はロッカーを後にした。
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