「あれ?それどうしたんですか?」



たこ焼きを買いに行ったはずの三人の手にあるのはたくさんの袋。



「ん?夜にこれをやろうと思って。」



総司が差し出した袋をのぞくとそこには。




「花火!!!」

「みんなでやったら楽しいと思ってな。いろんな種類があったからいろいろ買ってみたぞ。」

「買いすぎなんだよ、近藤さん。」

「そうか?だがみんなでやればあっという間になくなってしまうさ。」

「楽しみです!近藤さん!!!」

「そうかそうか!良かった。」



その後はみんなでたこ焼きを食べて。
千鶴や一君のところへ戻って海を眺めていた。


永倉さんや原田さん、平助も戻ってきて一度今日泊まる旅館へ行くことにした。


「女性の方はこちらです。男性の方々はそのお隣のお部屋です。」


旅館の女将さんに案内され、私と千鶴は部屋へ入った。
二人用というのもあってそんなに広くないけど海も見えるし綺麗だし言うことなし!



「いいねー。のんびりできるね。」

「うん!なんだか修学旅行みたいだね。」

「夕飯の前にお風呂入りいく??」

「そうだね!」




その後、千鶴とお風呂入りに行って。
みんなで夕飯を食べて。



いよいよ外は暗くなって。



「よしっ!では行くか!!!」

「「おお!」」




いざ、海へ!!!
























海はすっかり暗かったけど、あちこちに花火をしている人達がいて、時々打ち上げ花火の光が空を明るくしていた。





「何しよっかな!!」

「とりあえず、ほら、平助。」

「え?ってうわ!!!左之さん!ねずみ花火投げるなよ!!!!」

「はははは!そーら、平助もう一個!」

「やめろって!!新八っつあん!!!」

「絶対花火を人に向ける人っているよね・・。」

「ね・・。」


騒ぐ三人を遠くから千鶴と眺めていた。
もう大学生ですよ、あなたたち。
私の横でため息をついたのは一君だった。


「あんた達は真似をするなよ。」

「しないから。あ、じゃあ私これにしようかな。」



適当に一本花火をとり、一君が用意したろうそくの火に近づける。


シュウウウウと音を立てて花火が光った。
緑・青・白・赤と色を変えて火花が散っていく。



「綺麗…。」

「みてみて、美月ちゃん。こっちも綺麗!」



千鶴が別の花火に火をつける。
色の変わり方は違うがやっぱり花火は綺麗。




「土方さん、この花火綺麗ですよ。」

「あ?っててめえ!こっちに向けんじゃねえ!!!」



総司の声がして思わずそっちを向くと、ちょうど総司がロケット花火を土方さんに向けているところだった。


って危ないから!!!



「こらこら、総司。それは横ではなく上に向けるのであってな…。」

「あ、そうなんですか、近藤さん。すみません、僕あまりロケット花火ってやったことなくて。」

「嘘つくんじゃねえ!思い切りこっちに狙い定めてだだろうが!!!」

「これをこうしてだな。」



近藤さんが砂地に設置して火をつける。
すると空にパンと音が鳴り響いた。


「ロケット花火は音が鳴るだけだからあまりおもしろくはないかもしれないが。」

「うわー。さすが近藤さん!そうやるんですね。」

「てめえ、後で覚えてやがれ。」

「言いたいことは今言ってもらえますか??覚えてる自信ないんで。」

「(怒)」

「わーもう!土方さん落ち着いて。総司も人に向けちゃだめでしょ!」

「はーい。」

「チッ。」



二人の間に入って止める。
こうでもしないと永遠に続くんだ。この二人の口げんか。




「おいおい!こっち見てくれー!!」



永倉さんが少し離れたところから声を上げた。
視線をやると永倉さん、原田さん、平助、一君がいて。
その足元にはたくさんの打ち上げ花火。



「火つけるぞー!!!」




四人が次々に火をつけ、素早くその場から離れる。





「美月。」

「え?」





――パンッ!!



――――パンッ!パンッ!!!




夜空に綺麗な花が咲くのが横目に見えた。





だって、私の目の前には。




総司がいたから。





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