土方さんについていき、海の家につくと私は早速メニューに迷った。
「焼きそばもいいけど。お好み焼きとか、たこ焼きとか。フランクフルトもいいな。メニュー多いですね。」
「そうだな。じゃあ焼きそばとたこ焼きでも頼むか?分けりゃいいだろ。」
「え?いいんですか!?やった!」
土方さんが注文してくれて、私達は椅子に座って待つことにした。
そういえば土方さんとゆっくり話すことってなかなかないんだよね。
同じコースだからいろいろ聞いてみようかな?
「土方さんって今何の研究してるんですか?」
「あ?研究?」
「はい。私も来年は研究室入るんで。参考までに。」
「あーまあ簡単に言えば、病原菌から有効な成分がとれないか調べてんだよ。」
「病原菌?」
「植物とかのな。人間にとっては害ねえし、逆に薬に使えるようなものを作りだすのもあるからな。端折って言えばそんなところだ。」
「かっこいー。」
いかにも大学生って感じ!
高校とはやってることのレベルが違うよね、器具や装置も見たことないものばかりだったし。
「お前も来年はどこかに入って研究する人間だろうが。」
「なれますかねぇ、私。自信がないです。限りなく。」
「何やりてえんだよ。」
そんな話をしていると焼きそばとたこ焼きが運ばれてきた。
早速焼きそばに箸を伸ばす。
「んー食品がいいですね。身近だし。」
「あのなあ、食品っていってもいろいろできんだろうが。遺伝子組み換えもできるし、単純に品種改良でうまいもん作ることもできる。特定の食品から特定の物質とりだしてマウス使って健康に関する実験もできるしな。」
「ストップストップ!!!土方さん!頭パンクしますから!!!」
「何も難しいこと言ってねえぞ。」
「うー…そうですね。最後のやつとか興味ありますけど。」
頭がついていける自信がありません。
「まあまだ夏だしな。ゆっくり考えればいいんじゃねえの?」
土方さんはタコ焼きを口に放り込みながら呟いた。
「見に来たかったらいつでも見学来ればいい。他の研究室も見せてやるよ。」
「本当ですか!?やったあ!」
「ああ。いつでもいいぞ。」
「へー。僕も行きたいな。来年どっかの研究室入らなきゃいけないし。」
「総司!?」
「あ。」
いつの間にか土方さんの後ろに立っていた総司が土方さんのタコ焼きに思い切りタバスコをかけていた。
「てめ!何しやがる!」
「あ、マヨネーズのほうが良かったですか?マヨラーでしたっけ?」
「それ、なんか違う。」
「お前こんなん食えるか!!」
「お、トシや総司、岩崎さんはここにいたのか。」
「近藤さん。」
総司のさらに後ろにニコニコ笑顔の近藤さんが立っていた。
「少し腹が減ってな。総司と何か食べようと言ってたんだが…トシ、それは辛くないのか?」
「本当ですよねー。体に悪そうですよ。」
「総司、てめえ。」
「近藤さん、僕達は普通のタコ焼き食べましょう。美月も普通のがいいよね?僕の半分あげるよ。」
「え?あ、うん。」
「お前、俺に何の怨みがあるんだ!」
「やだなあ、なんのことです???」
「どうしたんだ?トシ。ではトシには俺のを半分やろう。普通の方がうまいぞ、きっと。」
「いや、そういうことじゃなくてだな。」
近藤さんの笑顔に怒りがどこかへ流されたのか、土方さんはため息をついて近藤さんについていった。
残されたのは私と、総司で。
「いつの間にかいないんだもん。土方さんに連れてかれてたんだね。」
「いや、連れていかれたというか。奢ってくれるって言うから。」
「簡単についていかないの。」
ぺしっとおでこを叩かれた。
あれ?これってつまり。
や
き
も
ち
?
「ふふふっ…。」
「何笑ってるの、気持ち悪いなぁ。」
「それ彼女に言う台詞かな!?」
「たこ焼き買ってくるからここにいてね。」
「はーい。」
そう言うと総司は近藤さんや土方さんの所へ歩いていった。
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