「夏と言えば―!?!?!?」

「海ー!!!!」

「海と言えば―!?!?!?」

「綺麗な姉ちゃんか?」


永倉さんの掛け声に楽しそうに返す平助とやれやれと言った表情で返事をする原田さん。


「泳ぐに決まってんだろ!ほら行くぞお前ら!!!!!」

「いやっほー!!!」

「おい、新八、引っ張るなよ。」


海に思い切り飛び込んでいく三人を見て土方さんの雷が落ちる。


「てめえら勝手に行動すんじゃねえ!」

「あはは、土方さんもしかして泳げないんですか?」

「んなわけあるか!」


総司が土方さんにちゃちゃ入れるもんだから今度はこっちに雷が落ちそうだ。
そんな二人をスル―し、一君が私と千鶴の方を見た。


「雪村、美月、ちゃんと準備運動をしてから入れ。」

「うん。」

「相変わらずみんなすごいね。」




はい。
そうです。
海です。




私達は海に来ています。




大学生といえば長ーい長ーいお休み。
もちろん部活はあるけれど。
お盆前後はそれぞれ帰省の為に休みになる部活がほとんどだ。




そして帰省せずに残っている学生は。





こうやって遊びほうける。





「それにしても、海なんて久しぶりに来たなあ。」

「千鶴も?私もだよー!行きそうでなかなか行かないよね。」



パラソルの下で私と千鶴はみんなを眺めていた。
永倉さんが平助を海に放り込んでる。
総司は笑いながら土方さんに水鉄砲当ててるし、土方さんは怒鳴ってるし、近藤さんも楽しそう。
あ、一君と原田さん女の人に囲まれてる。
さすがだなぁ。




「どうする?千鶴、泳ぐ?」


私と千鶴は水着は着ているものの上にはパーカーを羽織って下もショートパンツをはいている。



「えっと、ちょっと恥ずかしいというか。」




顔赤くしちゃって。




かーーーわーーーいーーーいーーー!





ふふん、私だけが千鶴の水着姿見ちゃったもんね。薄いブルーと白のストライプ!!






「うん、恥ずかしいか。よし、脱げ。」

「え?えぇ!?ちょっと美月ちゃん!!!!」

「隠すなんてもったいないよー!」

「きゃああ!」

「…何をしている。」

「うわあ!あ、びっくりした。一君か。」




いつの間にか近くに一君が立っていた。手にはかき氷が二つ。




「食べるか?」

「ありがとう。」

「ありがとう!一君。」


私達にかき氷を手渡すと一君は横に座った。


「お姉さん達は?」

「ああ、あそこだ。」



一君が指さした方向には原田さんと、取り囲むお姉さん達。
うん。一君、面倒だからって逃げてきたな。




「ああいうのは苦手だ。」

「そうなの?」

「さすが原田さん、対応がうまいなあ。」



海の中から気がついた永倉さんが何か文句言ってる気がする。学校でも海でも変わらない光景だな、ほんとに。




「泳がないのか?」

「千鶴が恥ずかしいって言うから。今脱がそうとしてたんだけど。」

「あんたは何してるんだ…ほんとに。」

「じゃあ私泳いでこようかな。千鶴はここにいる?」

「うん。」

「一君もいてね。千鶴一人だとナンパされちゃうから。」



そう言って私は一君にかき氷を手渡して立ちあがる。




――バサッ




パーカーを脱ぎ捨てた。





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