「千鶴、貴様はどうだ。」

「えっと、私は…。」





千鶴のタイプ?
ちょっと気になる!
男子から絶大な人気があるのに彼氏いないけど。


どんな人がいいんだろ?








「あの…。」







千鶴が恥ずかしそうに目を泳がせる。
可愛い。




「千鶴ってどんな人がいいの!?」





あ、思わず私が聞いちゃったよ。





「と…。」

「と?」

「と?」

「と?」



千鶴の呟きに私と総司、一君が繰り返す。












「父様みたいな人が…。」











千鶴のお父さん?
一度見たけど…。
そうか…そうだったんだ。
私は風間先輩の方を向いて指さした。
















「頭丸めてこい!金髪!!!」

「うん、そこじゃないと思うよ。」

「美月、そこではない。」







ほぼ同時に総司と一君につっこまれたよ。
ものすごい呆れた顔で。








「父様みたいに優しくて、博学で、落ち着いている人が。」


















「つまりお坊さんが好きなんだね!?」

「うん、それもなんか違うと思うよ。」

「雪村の父親は医者だ。」

「どちらにせよ、お前らには美月も千鶴も合わない。この俺様だけがふさわしいのだ。」


「どうなったらそうなる!金髪!」




この人絶対頭のねじが一本、いや二本足りないよ。
怖いよーポジティブ怖いよー。






「話にならんな。」

「ほんとにね。」



一君と総司がため息をついた。
でも風間先輩はにやりと笑う。



「弱い犬ほどよく吠える。」

「何?」

「どういう意味だ。」







うわっ。また険悪ムードに突入してしまった。
どうしよう。
もうクラスのみんなも先輩達も騒ぎに慣れてきたのかそれぞれ話始めちゃってるし。
















あれ?















悩んでいたらいつの間にか一人増えていた。
金髪先輩の後ろに。
















「風間。実験を放っておいて何をしているのです?」

「む。天霧。」

「さっさと次の工程にうつらないと一からやり直しですよ。」




そう言うと天霧と呼ばれた先輩はひょいと風間先輩の首根っこを掴んでずるずると引きずって行った。




「なっ何をする!」

「お騒がせしました。」





最後まで無表情のまま、天霧先輩は風間先輩を連れて出て行った。






「何これ。」

「なんだか疲れちゃったね。」

「本当に嫌な先輩。」

「全くだ。あ。」

「どうしたの?一君。」

「実験を放置しすぎだ!」

「「「あっ!」」」
















慌てて実験台に駆け寄った。
他の班員が続けてくれていたおかげで実験は滞ることなく進めることができたけど。



必要以上に疲れた私と千鶴のミスにより、それぞれの班が実験に失敗。
優しい教授は失敗したということをレポートに記せばいいと言ってくれたがいろんな人に迷惑をかけた一日だった。








もうやだあの先輩。







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