「おい。」



ツカツカと真っすぐに。
風間先輩はある先輩に近づいていった。


「?風間、どうした?」

「カラムを放置したままだろう、液が全て流れて干からびているぞ。」

「!?やべっ!!」




言われた先輩はものすごいスピードで実験室を飛び出していった。
おそらく何か実験途中だったのを忘れてしまっていたのだろう。



あれ?
風間先輩意外と良い人?



要件はそれだけだったのだろう。
そのまま実験室を出て行こうと…











目が合いました。


















ニヤリと笑うとこちらへ近づいてくる。

え!?
近づいてくる!?






「美月ではないか。そうか、お前はまだ二年だったか。」

「ちょっと、近づかないでもらえます?」

「さっさと実験室を出ていけ。」




私の前に総司と一君が立ってくれた。
この間の件があるから二人とも警戒がすごい。





「風間さん。」

「なんだ、千鶴もいたのか。」

「え?知り合い?千鶴。」




私の横にいた千鶴が声をかける。
意外すぎる組み合わせに総司と一君も目を丸くしていた。




「えっと、親同士が知り合いで。」

「あぁ。少し前までは許婚だった。」

「えぇ!?いいなずけ!?!?!?」




このご時世にそのようなものがまだ存在するとは。
ってかこの金髪と千鶴が!?

だめ絶対!!!



思わず千鶴を後ろに庇う。




「だった…と言っている。」

「私が勝手に決められるのは嫌なので解消してくださいとお願いしたの。」

「へぇ。」

「まぁ、俺は家の事情など関係なく、千鶴を俺のものにしようと思ったがな。」

「貴様。」

「千鶴に近づかないで!」


思わず一君と千鶴を守る。
だって危険だもん、この人。

「まぁ、今はお前にも興味がある。」

「え?」


私?
私!?!?


おろおろしていると総司が目の前に立ってくれた。


「堂々と二股宣言するなんて余裕ですね、先輩。」

「お前より俺の方がそいつにはふさわしい。」

「言ってくれるなぁ。」




総司が握りしめているボールペンがギシギシと音を立てているのがわかった。





「美月、お前はどのような男がいいのだ。千鶴、お前もだ。」

「え?」

「え?」





風間先輩の問いかけに総司と一君が振り向いた。
どのようなって。






「えっと…優しくて、落ち着いていて、私を大事にしてくれる人が…。」





何これ。
拷問なんですけど!
何でクラスメイトの前で好みのタイプを発表しなくちゃいけないんだ!?



「俺様以外の何者でもないようだな。」

「どうしたらそうなるんですかぁ!?」

「そうですよ、先輩、頭湧いてるんですか?」

「あぁ、上手く機能していないようだな、その頭は飾りか?」





二人とも先輩に対して当たりが強すぎです。





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