「美月ちゃん。沖田君。順調?」

「あ、千鶴。」


千鶴はクラスが違うけれど、この実験には特別参加していた。
生徒の希望があれば他のクラスでも参加できる時間になっていた。


「ここでノートをまとめているということはもう待ち時間なのだろう?」


一君も千鶴同様、クラスは違うけれど実験に参加していた。


「二人とも物好きだよね。他のクラスの実験にでるなんてさ。」

「私は化学が苦手だから。」

「俺は、この時間ちょうど空きコマだからな。」




尊敬するよ、二人とも。
だいたいどこの班も待ち時間に入ったらしい。
みんな談笑していた。



この実験の研究室の教授も先輩も優しい人が多いから特に注意もなく、あ、教授なんて生徒と一緒に話しちゃってるよ。




「あー、暇だな。あれ、あと三十分は放置しないとだめだよね?」

「あぁ。その後分析の機械にかけるのだろう。」

「どんな結果がでるんでしょうね?」

「うー眠い。」

「こら、寝ちゃだめだよ。美月。」




だって化学苦手なんだもん。
実験は楽しいけどさ。

待ってるだけって辛いよね。



大きく伸びをしようと腕を上げた瞬間。







――バンッ







実験室のドアが勢いよく開いた。







「あ。」





ドアの所には。





あの金髪先輩が立っていた。





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